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シロサバフグは無毒?類似の死神にご用心

シロサバフグ

ふぐは言わずと知れた、毒のある魚です。
しかし、日本近海で漁獲されるふぐの中には無毒のシロサバフグという種がいると言うではありませんか!
みずみずしい身質をもつシロサバフグは、加熱しても硬くなり過ぎず、ふっくらと柔らかな食感を楽しめます。
加熱するふぐ加工食品にぴったりのふぐとして、ふぐ雑炊の素やふぐ缶詰などの材料として扱われています。
シロサバフグは珍しいことに内臓も含めて全て無毒のため、昔は肝と身を磨り潰した絶品の団子汁を楽しんでいたそうです。
しかしながら、現在では厚生労働省の定めた可食部位以外、全てのふぐの肝臓の販売や提供は食品衛生法によって禁止されています。
それは、自然界においての特例的な変化は予測不可能で、無毒という安全性を確定できないからに他なりません。
美味しい白身魚として人気のあるふぐですが、その毒テトロドトキシンは当たると命を落とすほどの強い毒をもっているのです。
貴重な無毒種のふぐ「シロサバフグ」ですが、大変似た姿の「ドクサバフグ」という全身猛毒をもつ種が存在します。
紛らわしくも対照的なふぐを判別するのは、素人には危険が大きすぎます。
そのため、人々が安心してふぐを味わえるようにと、各都道府県では専門の知識をもつふぐ取扱者のみがふぐを捌くなど、ふぐ食の安全体制を整えてきたのです。
どのような魚か特徴を紹介しつつ、間違えると危険なドクサバフグなど、よく似た種類について解説します。

シロサバフグとは

宮崎虔の漁港

光沢のある白銀の体表を有するシロサバフグは、そのメタリックな見た目もありますが、群れをなす生態からサバの名のついた、中型のふぐです。

キラキラと光る銀色の体表は、水中から見上げると水面の乱反射に溶け込み、目につきにくいという特長があります。
また空からやって来る鳥などの外敵にも、銀色の体表は水面の光にまぎれて見つかりにくいので、毒をもたないシロサバフグは光る体の特徴を活かし身を守っているのでしょう。

シロサバフグはトラフグと比べてネームバリューはありませんが、日本ではたくさん漁獲されているふぐです。
シロサバフグは、加工品向きのふぐとして一夜干しや唐揚げなどに用いられていますが、スーパー等でも普通の魚と並んで売られています。比較的安価なので家庭でも手軽に味わえる種類のふぐと言えます。

みずみずしい白身の身質はクセがなく、干して旨味を凝縮させる干物や昆布締め、下味をつけた唐揚げ、汁物の具材として幅広く用いられています。
シロサバフグとはどのような魚なのか詳しく見てみましょう。

シロサバフグの特徴

フグ科サバフグ属のシロサバフグは、学名をLagocephalus wheeleri Abe,Tabeta et Kitahama、英名をBlowfish,Pufferfishといいます。
Blowとは日本語で「吹く」、Pufferとは「プッと吹く人」という意味で、ふぐが外敵などに襲われた際、威嚇をするためにふくらんだり、水や空気を吐く性質を表しています。

シロサバフグは、北海道から九州南部の沿岸や東シナ海に生息しており、体長35cm前後の大きさに成長する中型種のふぐです。
体上部の背面は、淡い灰緑色で斑紋などの模様はありません。
腹部は白色で、背面と腹部の境に金や銀に光る色帯があります。

背ビレと胸ビレは淡い黄色で、臀ビレは白色、尾ビレはやや黄色がかった黒色で、下半分は灰色がかっています。
尾ビレは、わずかに湾入していて中央がやや凹み、尾ビレの上下先端はほのかに白くなっています。
頭部と腹部に小さな棘が密生していますが、胸ビレ上方から背ビレまでは棘がなく滑らかな体表をもっています。

九州地方では5月から6月の初夏に産卵期を迎え、旬は11月から2月ごろまで楽しめます。
現在日本近海で漁獲されるシロサバフグは、無毒種とされていますが、ふぐは海域によって有する毒性が変わる可能性を秘めています。
基本的には身も皮も内臓も無毒な珍しい種類ですが、万が一を考慮し、他と混同を防ぐために卵巣などの臓器は、厚生労働省が食用を禁止しています。

流通しているシロサバフグは全て天然物で、身と皮、白子が可食部位として店頭に並んでいます。

知っておくと面白い「ふぐ」という魚の生態や特徴

宮崎県でブランド化、別名「金ふぐ」

日本三大荒海のひとつである日向灘に面した宮崎県は、水産資源が豊富な土地柄で、昔から良質なシロサバフグが水揚げされており、長く地元民に愛されてきました。
宮崎県の水産資源のよさをもっと知ってほしいと、シロサバフグは2010年に宮崎県水産物ブランド認証品第9号にブランド名「みやざき金ふぐ」として認定されました。
ブランド化した美味しさにブレがないようにと、宮崎県は金ふぐの認定基準を設け、品質の安定化に努めています。

認定基準は、海水温度の下がる10月~2月の日向灘で、指定された漁業者がふぐの身を傷つけない様に「延縄漁法」か「一本釣り漁法」で漁獲し、活け締めしたシロサバフグのみ使用することとしています。

シロサバフグには銀色味の強い個体と黄金色の個体がいます。
外見に傷がなく、美しい金色の魚体をもったものだけを「みやざき金ふぐ」として出荷しています。
さらに大きさは100g以上のものだけと決めており、それ以下の幼魚は資源保持のため、海に返しているそうです。

みやざき金ふぐは鶏のささみに似たしっとりとした身質をもち、唐揚げや鍋など身も皮も美味しく味わうことが出来ます。
地元民お勧めの食べ方は、宮崎県の伝統的な調理法である「焼き切り」です。
焼き切りとは、皮をはいだ金ふぐを強火でサッと香ばしく炙り、氷水でキュッと引き締めてお造りにした「たたき」の様なお料理です。

シロサバフグは皮も無毒なため、はいだ皮も湯引きにしていただきます。
さっぱりとポン酢醤油やわさび醤油でいただけば、しっとりとした柔らかな食感と、優しい甘味が口に広がり、至福の味わいに酔いしれることでしょう。

個体のチェック体制も万全で、似た種類のまぎれ込みを防ぐため、漁業者と漁協職員の2段階でチェックをしているというから安心です。

シロサバフグの様々な呼び名

沿岸性で漁獲しやすいシロサバフグは、それぞれの地域で愛され、様々な呼び名で親しまれています。
漁獲される海域によっては、シロサバフグの色合いが、白というより輝く銀色に近いため「ギンフグ」と呼ばれることも多くあります。

昔シロサバフグは、姿形がよく似ているクロサバフグと同じ種類として扱われていました。
そのため、東京、名古屋、京都、大阪の大きな都市では、シロサバフグとクロサバフグを共に「サバフグ」と呼ぶ地域が多く残っています。
金沢、神戸、高知、山口(旧徳山市)では「ギンフグ」と称され、北九州と山口(下関市)では「カナト」と呼ばれています。
他にも福井県で「ウラバ」、京都で「サンキュウ」、愛媛県で「ギロ」、徳島県で「ギンブク」「ギンナン」など、様々な異名をもっている魚なのです。

シロサバフグのお勧め料理

みずみずしい身をもつシロサバフグは、主に加工用に回されており、関東では鮮魚として出回る率はかなり低く、西日本を主に出回っている魚です。

シロサバフグの身は、トラフグと比べると少々旨味が少なく小振りですが、加熱しても硬くなりにくく、ジューシーで柔らかい食感が保てます。
白身魚ですが鶏肉のようなしっかりとした身質が特徴で、濃い目の下味を付けて唐揚げにしたり、ぶつ切りにして鍋物、汁物の具に活用されています。

無毒種とはいえ、本種もさばくには専門のふぐ免許を必要です。
地元以外への出荷には、頭部、皮、内臓を取った「みがきふぐ」の状態で流通しています。
地元以外ではなかなかお目にかかれないシロサバフグの刺身ですが、身を昆布締めすることで、程よく水分が抜けて昆布とふぐのエキスが一体化した、とてもまろやかな美味しい刺身がひけます。

また、余分な水分を除くことで旨味をぎゅっと凝縮させることのできる干物はシロサバフグに最も適した加工方法だと言われています。
みりん干しなども人気がありますが、ふっくら柔らかな食感を引き出す一夜干しは、アレンジのきく加工品として高い評価を得ています。
一夜干しは様々な魚種で作られていますが、中でも高たんぱく質な身をもつふぐは、干すことによりたんぱく質の分解酵素が働いて旨味がグッと増すため、干物向きの魚種だと言われています。
一夜干しのシロサバフグは、ご飯と一緒に炊くだけで旨味の効いた炊き込みご飯ができ、失敗のないやさしい調理法なのでお勧めです。

お手軽にふぐを楽しめるように、シロサバフグは缶詰になって販売されています。加工済みの缶詰はそのまま酒のつまみになりますし、茹でたパスタと和えるだけで豪華な美味しいシーフードパスタが出来上がります。
ふぐの中で比較的安価なシロサバフグは、家庭料理として取り入れやすい食材といえるでしょう。

シロサバフグと似ている種類たち

ふぐ中毒イラスト

シロサバフグは無毒のふぐだからと、油断して素人調理は危険です。
奇跡のようなシロサバフグに擬態したかのような恐ろしいモンスターが混獲されることがあるからです。

全身無毒のシロサバフグに対して、よく似たサバフグ属の仲間に全身強い毒をもつドクサバフグという種類が存在します。

人命を預かるふぐ処理士がもっとも注意を払う点は、その種類の見極めと有毒部位の把握です。
日本近海だけでも約50種類のふぐが存在する中、見た目が酷似している種類は、ふぐ免許をもつ有資格者でも細心の注意を払うのです。

サバフグ科の仲間には、黒っぽい個体のクロサバフグという種もいます。
クロサバフグも基本は無毒種ですが、生息地によっては有毒種となります。
これは、シロサバフグにも言えることです。

見た目で判断できるものではないので、共通認識として肝臓の食用は避けるべきでしょう。
シロサバフグと似ている主な2種類のふぐについて、特徴と違いを説明します。

間違えると危険!ドクサバフグ

同じフグ科サバフグ属の仲間で、大変危険な種類が「ドクサバフグ」です。
その名の通り大変強い毒をもつ種類で、身や皮、精巣(白子)や卵巣を含む全ての臓器に毒をもっており、絶対食べてはいけないふぐです。
ドクサバフグの怖いところは、無毒のシロサバフグと姿形が大変よく似ているという点です。

以前はまだ海外からの輸入ふぐの鑑別が徹底しておらず、むき身となって輸入されたものを食べて死亡事故が起きた例があります。
しかし現在は、種類の鑑別不可能なむき身は輸入されておらず、そのような事故は起きていません。

東シナ海、南シナ海、インド洋などに分布している、体長40㎝前後の中型種のふぐですが、日本沿岸に出現することがあり、釣り人による自己判断の調理により全国で食中毒による犠牲者が相次いで出ています。
ドクサバフグは、厚生省局長通知で猛毒種に指定されており、鑑別する際のガイドラインとして、シロサバフグとの違いの要点を指示して注意を呼び掛けています。

一番わかりやすい見極めのポイントは、背面にある棘の生え方です。
シロサバフグは頭部に小さな棘が密生していますが、ドクサバフグは頭部だけでなく背ビレの付け根まで棘が密生しています。

他の特徴の違いとしては、尾ビレの湾入がドクサバフグの方が深い、など細かな違いは確認できます。
しかしシロサバフグと同様に、体側と腹部の境目に銀光色の帯が見受けられ、尾ビレの下縁が白い酷似した個体もあるため、素人判断は絶対にしてはいけないのです。

よく似ているクロサバフグ

シロサバフグと同様に、無毒種のふぐとして扱われているのが「クロサバフグ」です。
体長は40㎝前後と、ややシロサバフグより大きさのある種類の中型種のふぐです。

日本近海に生息しているクロサバフグは、身、皮、精巣(白子)が無毒でふぐの美味しさを部位ごとにしっかりと味わうことができる種類です。
しかし南シナ海の海域に生息しているクロサバフグは、卵巣、肝臓共に猛毒で、筋肉にも弱毒のものが発見されているので油断は禁物です。

シロサバフグと異なる点は、全体的に体色やヒレなどが暗色で、尾ビレの湾入による形状が違っているところです。
背面から体上部は暗い緑黒色で、腹部は白色、体側と腹部の境目に、金や銀の光色帯があります。

背面の小棘は頭部のみで、胸ビレ上方から背ビレまでは平滑な体表をもっています。
尾ビレの湾入は二段階あり、中央がやや突出しています。黒い尾ビレの上下となる先端は白くなっており、これはシロサバフグも同じ特徴をもっています。

身質はシロサバフグと同様に扱われているため、一夜干しなどの加工品も「ふぐ(シロサバフグ及びクロサバフグ)」と並列して明記されることもあります。

「シロサバフグ」が長く愛されてきた訳

鍋を囲む

ふぐの体は筋肉質で固く、しなやかな泳ぎができないゆえに、自ら毒を保持して天敵から身を守っています。
しかし毒を持たないシロサバフグは、群れをなし、体表にキラキラと反射性をもつことで水面の輝きに紛れ、外敵から見つからないよう工夫して生息しています。

ふぐと聞くとトラフグを思い浮かべ、ふぐは高級で日常使いの魚ではないイメージがある人も多いかもしれません。
しかし一昔前まで、ふぐに馴染みのある日本海側や西日本を中心に、ふぐはクセのない白身の魚として日常的に調理され、一般家庭の食卓に並んでいました。
中でもシロサバフグは、毒による事故が起こらない安全なふぐとして地元民に親しまれ食用されてきました。

これまでシロサバフグの魅力は、たくさん水揚げされることと、ふぐならではの味わいを楽しめること、そして何より全ての部位が食べられるという調理のしやすさでした。
しかし昭和58年12月、厚生労働省はふぐ食の安全性確保のため、食用可能なふぐの種類と可食部位を制限し、肝臓、卵巣などの臓器は、ふぐの種類を問わず食用禁止としました。
肝の食べられる奇跡のふぐでしたが、残念ながら現在では幻となっています。

もちろんシロサバフグの身は食用として愛され、加熱してもふっくらと柔らかな身質をもつことから、加工品にぴったりのふぐとして今も大活躍中です。
大きさも手頃で加工しやすく安定して漁獲できるシロサバフグは、一夜干しを筆頭に糠漬けやふぐの缶詰、ふぐ茶漬けの素、ふぐ雑炊の素などの名産品となり、土産物店やネット通販などを通じて全国に流通しています。

手頃で扱いやすいシロサバフグは、ふぐ料理をもっと気軽に日常の食卓へ取り入れられる魅力に溢れた魚です。
毒をもたないシロサバフグがふぐの食文化を支え、後押ししてくれたことは明白でしょう。

ただし、自然界の生き物は、いつ私たちの常識を越える個体を生むかわかりません。
猛毒種ドクサバフグの存在や、生息地域によって個体差があり有毒となるクロサバフグの不思議は、無毒種シロサバフグを解して鳴らす、安全なふぐ食を保つための警鐘のように思えます。

ふぐ料理が魅せるシンプルかつ手厚い逸品の数々

2017-9-12作成/2018-10-9更新]

下関ふぐ本舗

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