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魅惑的な「あんこう」七通りの食味と栄養

あんこう鍋

家庭で魚を捌く時に、頭や内臓など捨てるところが意外と多く、食べられるところが少ないなと感じたことはありませんか?実は、マグロで例えると、その約50%は捨てられる部位と言われています。
スーパーなど総合販売店での買い物が主流となっている昨今、店頭へ陳列している魚のほとんどは、ウロコを取って内臓を取り出したものや、切り身の状態で並んでいます。
魚屋さんで丸のまま魚を買う人は少なくなっているためか、一匹の魚からどれほどの部位を捨てているか気づく機会は少ないかもしれません。
しかし数ある魚の中で、「全身美味しいところだらけ」「捨てるところがほとんどない」と言われている夢のような魚がいます。
その名も深海魚「あんこう」です。
「どこを食べても美味しい魚」と聞くと、まさかと信じ難いかもしれません。
あんこうとは、どのような身質をもった魚で、どの部位が食べられるのか、その栄養面などをのぞいてみましょう。
歴史的背景を調べていくと、わりと古くからあんこうの美味しさは人々を魅了し、どの部位も工夫して食べ継がれてきたことがわかります。
食用部位の多いあんこうの、名産地に伝わるあんこう料理も併せて紹介していきます。

「あんこう」の美味しさ一挙紹介

鮟鱇の可食部

皆さんは「歩留まり(ぶどまり)」という言葉をご存知ですか?
食品に限らず工業製品にも使用される言葉で、投入した原料の量から仕上がる製品などの数を比率で表す言葉です。
食材においては、可食部の割合を表す際にも用いられています。
「歩留まりのよい食材」とは、例えば魚で言えば処分する部位が少なく、可食部位の多い魚のことを指します。

寒い冬の時期に旬を迎える深海魚あんこうは、とても歩留まりのよい魚で「捨てるところがほとんどない」と言われるほど、骨を残して全身どこを取っても美味しい魚です。
他の魚ではあまり食べないエラや胃などの部位も、美味しく味わえるあんこうは、どのような特徴をもつ魚なのか見ていきましょう。
七つ道具と呼ばれる、それぞれ異なった食感や美味しさを秘めたあんこうの食用部位を一挙紹介していきます。

圧倒的な水分量と濃厚な脂質とコラーゲン

あっさりとした白身のあんこうは、水分量85%と実にみずみずしい身質をしています。
その身に含まれる成分は、脂質は100g中0.2g、炭水化物は0.3gと少なく、低カロリーで良質なたんぱく質が摂れます。

また、あんこうの皮にはウロコがなく、外敵から身を守るために粘液で覆われてぬめりがあるのが特徴です。このプルプルとした皮やヒレなどにあるゼラチン質には、豊富なコラーゲンが含まれています。
魚由来のコラーゲンである海洋性コラーゲンは、動物性のコラーゲンと比べて消化吸収がよいと言われているので、効率よくコラーゲンを摂取することが出来る点も嬉しい限りです。
カロリーを気にせず美肌成分のコラーゲンもたっぷりと含むあんこうの身は、とくに女性にお勧めしたい食材と言えます。

一方で、あんこうの肝は高カロリーですが、旨味たっぷりの珍味として大変人気があります。
深海で過ごすあんこうの肝臓には栄養が脂肪として蓄えられており、フォアグラに匹敵する濃厚さをもっています。
あんこうの価値は肝の大きさで決まると言われるほど、あんこうの味覚のメインとなっている部位です。

七通りの美味しさ!?あんこうの七つ道具

国内で水産資源として漁獲対象となっているあんこうは、アンコウとキアンコウの2種類です。
どちらも体長100㎝前後の大きな種類で、潰れたような平べったい体と大きく裂けた口、ヌルヌルとした皮など見た目は少々グロテスクです。

そのような見た目とは裏腹に、あんこうは体のどの部位も美味しく食べられます。
歩留まりのよいあんこうの食べられる部位は、「七つ道具」と呼ばれています。

「七つ」には「一式」という意味があり、ヒレ、皮、エラ、肝、胃袋、卵巣、身を指します。
それぞれ異なる食感や風味をもち、言わば七通りの美味しさを秘めた食材たちです。
美食家を魅了するほどの七つの美味しさについて、それぞれの部位の特徴を見ていきましょう。

トモ(胸ヒレ、尾ヒレ)

泳ぎが下手なあんこうは、胸ヒレを使って海底を這うように移動します。
両腕のように発達した胸ヒレは食感もよく、とくに付け根が美味しいと言われています。
コラーゲンを含むゼラチン質がたっぷりで、味わい豊かな出汁も出る部位です。

ゼラチン質の多い皮は、プリプリとした食感が楽しめ、噛むほどに味のある部位です。
コラーゲンが豊富で、美肌効果も期待出来る嬉しい食材です。
コラーゲンの吸収を高めるビタミンCを多く含む野菜と一緒に食べるとよいでしょう。

エラ

キレイな赤色をしたエラは、ゼラチン質を含みプルプルとした心地よい食感を楽しめます。
あんこうのエラは、「鰓耙(さいは)」と呼ばれる櫛状の突起がありません。
小魚は、鰓耙で微細な食物を漉し取って糧としていますが、大きな口と鋭い歯をもつあんこうは、正面から大口でエサを飲み込むので鰓耙を必要としないそうです。
鰓耙がないため、あんこうのエラは滑らかで食感がよいのでしょう。

「海のフォアグラ」の名をもつあん肝は、濃厚で全てを包み込むようなまろやかな極上の美味しさがあります。
良質な脂肪分を含み、トロと比べて約2倍もの脂肪量を誇ります。
赤血球を作る栄養素であるビタミンB12や、強い抗酸化作用をもつビタミンE、免疫力を上げるビタミンAなど、栄養価も高くアンチエイジングにも効果的です。
ただし、脂肪分や栄養価が高い分、食べ過ぎには要注意です。

水袋(胃袋)

大きな魚を丸のみしても受け止められる丈夫な胃袋は、よく伸びるためとても弾力があります。
コリコリとした歯ごたえが楽しめ、ホルモンのような食感をしています。

ヌノ(卵巣)

平板状で、両手でもって左右を広げると羽のように広がり、薄い膜のような不思議な形をしています。
春~初夏にかけて訪れる産卵期前は、たっぷりと卵が付いています。
柔らかく弾力のある食感の珍味です。

柳肉(身)

あっさりとした白身は、みずみずしく柔らかな食感です。
良質なたんぱく質はクセのない味わいなので、どのような料理にも合う調理しやすい身質をしています。

食べ継がれてきた「あんこう料理」

鮟鱇の唐揚げ

あんこうは元禄時代からその美味しさに定評があり、産地である水戸藩から皇室へ献上されていたという歴史があります。
あんこうは深海魚なので、昔の人は漁獲できなかったのでは?と疑問に思う人もいることでしょう。

産卵の時期になると、あんこうは浅瀬にやってきます。
あんこうの漁獲は偶然で、「空縄釣り」と呼ばれるエサを用いない延縄漁法の一つや、「ダボ縄」と呼ばれる古くからある底引き網で他の魚と一緒に漁獲されていたそうです。

冬は産卵を控えたあんこうが栄養をたっぷり蓄える季節で、身は引き締まり、あんこうの肝は最も美味しくなります。
ずば抜けた水分量を誇るあんこうを使い、茨城では「どぶ汁」というあんこうの身と野菜の水分だけで作られた鍋物が考案されました。
昔から愛されてきた淡白な身と高脂肪の肝を持ち合わせるあんこうを使った料理について、歴史的背景とその代表的なメニューを紹介します。

江戸っ子に愛された「あんこう料理」

江戸時代(1603年~1868年)、「三鳥二魚」とうたわれる五大珍味がありました。
「三鳥二魚」は、鶴(ツル)、雲雀(ヒバリ)、鷭(バン)の三種の鳥と、鯛(タイ)、鮟鱇(アンコウ)の二種の魚のことです。

質のよいあんこうが漁獲できる地域として有名な水戸藩徳川家より、将軍家へ献上されていたほど貴重な魚だったと言われています。
美味しい物が何よりも好きな江戸っ子の間で、あんこうは乙な魚として一目置かれており、とくに旬を迎える冬のあんこうは 「霜月あんこう絵に描いても舐めろ」と言われるほど絶賛されていたようです。

霜月とは11月のことで、あんこうは春~初夏にかけて訪れる産卵期に向けてエサを沢山食べるため肝臓が肥大し、栄養をたくわえた肝は味に深みが出ます。
一年で最も美味しく味わえる旬のあんこうは、江戸っ子の中では「食べないと損だ」と言わしめるほど人気があったそうです。

縁起を担ぐ江戸っ子は、「初物を食べると寿命が七十五日延びる」という慣用句に従い、旬を迎えた初物にある生命力をこぞって求めていました。
旬のあんこうの引き合いは激しく、さほど高級魚ではなかったとはいえ、人々は大枚をはたいて買い求めたと言われています。
当時、江戸の庶民のお腹を満たしたのは、あっさりとした醤油味のあんこう鍋が主流だったようです。

代表的なあんこう料理を紹介

あんこうを使った料理には、あんこう鍋やあん肝ポン酢など王道の料理のほか、あんこうの使いやすさを生かした様々なアレンジメニューが存在します。
あっさりとした白身はクセがなく、どのような料理とも相性がよいため、和・洋・中とレシピは限られません。

例えば、あんこうの身をオリーブオイルでソテーして、香草と一緒にバルサミコ酢などで味付けすれば立派な洋食メニューです。
ひと口サイズに切ったあんこうの身を、五香粉や醤油などで下味を付けて、粉をはたいてカラッと揚げれば中華風の唐揚げの出来上がりですし、さらにとろみをつけた餡をかけても美味しいです。

アレンジメニューも気になるところですが、ここでは古くから食べ継がれてきた代表的なあんこう料理をピックアップしてみました。
七つ道具を駆使して食べ継がれてきた、あんこうの代表的な日本のメニューを見ていきましょう。

あんこう鍋

あんこうの七つ道具を全て入れ、ネギや白菜など好みの野菜と一緒に割下で煮た鍋物です。
醤油味や味噌味のものが多いですが、水炊きにしてぽん酢で味わうものもあります。
濃厚なあん肝を溶かし加えると、コクが出て美味しいです。あん肝の量加減によって、こってりかあっさりか、好みで調整します。
七つ道具それぞれの異なる食感が楽しめる他、ゼラチン質の多いあんこうの部位から出る旨味とコラーゲンが出汁に溶け合い、飲み干したい程味わい深いスープを堪能できます。

どぶ汁

茨城県に伝わる郷土料理です。
土鍋であんこうの肝を乾煎りし、肝の脂が溶けるまで炒めたところに味噌を加え、あんこうの身の水分と野菜の水分を引き出して煮こんだ鍋料理です。
漁師が水揚げされたあんこうを船の上で調理して生まれた料理と言われています。
船の上では真水はとても貴重なため、水を一滴も使用せず体が温まる鍋物を作れないかと考えられたそうです。
あん肝のこってりとしたコクと味噌の香ばしさ、そしてあんこうの七つ道具それぞれの部位から溶け出した旨味、野菜の甘みが渾然一体となった、ダイナミックなスープを味わえる料理です。

唐揚げ

あんこうの白身に醤油や生姜などで下味を付けて、粉をはたき香ばしく揚げた唐揚げは、おつまみや夕食のメインにもぴったりなメニューです。
サクサクとした衣の食感と、とろけるような柔らかさのジューシーな白身を味わえる逸品です。
淡白な白身のあんこうから作った唐揚げは、飽きのこない優しい味わいです。

共酢

共酢も、茨城県に伝わる郷土料理です。
あん肝を鍋で炒ったあとすり鉢で潰し、そこに味噌、砂糖、酢を合わせて作った共酢に、茹でた七つ道具を合わせます。
あん肝のコクと味噌や酢の風味が混ざり合い、七つ道具の異なる歯ごたえを味わえます。

あん肝ポン酢

肝好きにはたまらない代表料理です。
あんこうの肝は血管や薄皮を取り除き、酒に浸して生臭みを取る下処理をしておくのが基本です。
臭みをとったあん肝をラップやアルミホイルなどで包み、丸い棒状に成形したものを蒸し上げたシンプル料理です。
蒸し上がったあん肝を冷まし、切り分けてポン酢でさっぱりといただきます。
もみじおろしや小ネギを添えれば彩りもよく、あん肝の風味をさらに引き立ててくれるでしょう。
「海のフォアグラ」とうたわれるほどの深みあるコクに、誰もが虜となる芳醇な味わいの一品です。

いろんな味わい「あんこう料理」

ザルに入った鮟鱇

見た目のグロテスクさとは相反して、あんこうは全身に美味しさを秘めた部位をもつ、宝のような魚でした。
しかも内臓まで食べられるあんこうは、捨てるところが限りなく少ない最高に歩留まりのよい魚と言えます。

馴染みのない魚であるようで、実は約300年以上前の元禄時代から食べられ、親しまれてきたというから驚きです。
とくに旬である冬場に漁獲されたあんこうは、「頬ぺたが落ちる」と江戸っ子にとても人気があったそうです。
食事にかけるお金を惜しまなかったという食いしん坊の江戸っ子を魅了してやまない旨味に満ち溢れた魚でした。

あんこうの美味しさは、とろけるような滑らかさとこってりとした旨味をもつあん肝にはじまり、上品な白身や魅惑の食感である皮や胃袋など、個性的な美味しさをもつ「七つ道具」にあります。
深海魚ならではの身質で、全身の部位を異なる美味しさや食感で楽しめる魚は他にない面白さがあります。

その美味しさと、クセのない身質は、和食に留まらず様々なジャンルの料理と相性がよく、あんこうを使った料理の可能性は世界で愛されています。
少々下処理の手間はかかりますが、レシピのアレンジがきくあんこうは、王道の食べ方はもちろんのこと、料理好きの人には調理しやすいお勧めの魚だと思います。

あんこうは冬の味覚を楽しみながら、体の免疫力を上げ、アンチエイジングに効果を期待できるコラーゲンも一緒に摂取できる夢のような食材ですね。
高級魚となってしまいましたが、お腹もお肌も喜ぶ一石二鳥のあんこう料理を是非堪能してみてください。

2024-02-16作成/2024-02-16更新]

下関海産物問屋

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