急速冷凍は蟹を産地から離れた場所へ送る為に必要な技術
蟹の美味しさを保つ急速冷凍技術
産地から遠く離れた場所へ蟹を輸送する場合の最大のポイントが、「急速冷凍されているかどうか」です。
では、急速冷凍は普通の冷凍と、一体何が違うのでしょうか。
蟹に限らず食品を冷凍すると、その内部に氷の結晶が作られます。
この氷の結晶が大きければ大きいほど、食品の組織に対するダメージが大きくなり、本来の旨味や食感が失われてしまうのです。
氷の結晶は食品の温度が、最大氷結晶生成温度帯であるマイナス1度からマイナス5度の間にある時に最も大きくなります。
つまり、急速冷凍とは極めて低い温度で一気に食品を冷凍することにより、氷の結晶が大きくなる前に冷凍を完了してしまう技術なのです。
では、この急速冷凍された蟹が無事自宅に届き、いざ食べよう!という時はどのように解凍すれば良いのでしょうか。
まず、一番やってはいけない方法が、電子レンジによる解凍です。
たしかに電子レンジによる解凍はとてもスピーディーなのですが、その分カニの身に対するダメージは大きく、ドリップと呼ばれる旨味エキスが全て逃げ出てしまいます。
逆に最も美味しく、茹で上がりに近い状態へと解凍するコツは、とにかくゆっくりじっくり冷蔵庫で解凍する、という方法。
時間は約1日から1日半かかりますが、その間にドリップが蟹の身全体へしっかり行き渡るのです。
蟹を早く食べたいと焦る気持ちは皆さんお持ちです。
しかし、正に「急いてはことを仕損じる」というわけなのです。
ゆっくり解凍しましょう
蟹をおいしく食べるには、どんな食材でもそうですがとりたてを食べるにこしたことはありません。
しかし、出回っているもののほとんどは急速冷凍されたものです。
カニは水揚げされるのが国内では北海道を中心に、山陰や北陸、東北地方などの日本海側に限られます。
さらに、多くをロシアや中国などからの輸入に頼っているので、とりたてを食べることはほとんどなく、急速冷凍されたものを解凍して食べることになります。
蟹の急速冷凍されたものをお歳暮などでいただいたり、お正月や冠婚葬祭などでふるまったりすることがありますが、蟹の急速冷凍されたものは解凍方法を間違えるとせっかくのカニをおいしくいただけなくなってしまいますので注意が必要です。
蟹が漁獲されたあとに急速冷凍されるのは、氷の結晶をできにくくするためです。
氷の結晶がそれほど大きくなければ旨み成分を破壊せずにすむからです。
そして、自宅などで急速解凍されたものを解凍する際は、ゆっくりと解かしていくことがポイントです。
早く解凍して食べたいからといって電子レンジで解凍したり、熱湯をかけたりしてはいけません。
ゆっくり解凍すれば旨みを失わないのですが、室温で解凍するのではなく「冷蔵庫」で甲羅を下に向けて約1日かけて解凍して下さい。
冷蔵庫は零度以下ですからカニが時間をかけて少しずつ解凍されていくのです。
カニが大きい場合は1日半くらいかかる場合もあります。
解凍後はカニ表面の水分を拭き取って下さい。
このようにして冷凍されたカニをおいしく食べることができます。
[2016-11-14作成/2024-10-11更新]
(c)ふるさと産直村