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カゴの中を見る

知られざるアンコウの種類

口を開けた鮟鱇

「あんこう」は、冬の鍋物として名高いあんこう鍋や、濃厚でクリーミーな味わいが「海のフォアグラ」と称されるあん肝など、冬の味覚を代表する魚です。
しかし、美味しく食べているあんこうの種類について、詳しく語れる方は少ないのではないでしょうか?
あんこうは深海魚としてナゾが多く、私たちが知らないあんこうの生態や見たこともない種類など、深い世界が広がっています。
魚は生物分類階級で「目」→「科」→「属」→「種」の括りで細かくグループ分けがされています。
アンコウ目では、18科72属358種の仲間が発見されており、その中の食用向きの種類が属しているアンコウ科には「アンコウ属」、「キアンコウ属」、「ヒメアンコウ属」、「Sladenia属」の4属28種ほどがいます。
普段「あんこう」と呼んでいるのは、数多にある種類の中で食用として漁獲されている「キアンコウ」と「アンコウ」の2種類を指します。
しかし、あんこうの仲間は、ピカリと光るちょうちんのような突起をもつことで有名な「チョウチンアンコウ」や、小振りで色とりどりの見た目が観賞用として人気の「カエルアンコウ」など、多岐にわたっています。
中でも特徴的な種類をピックアップしてご紹介します。あんこうを見たことのある人も見たことのない人も、あんこうという魚の知られざる世界をのぞいてみましょう。

深海魚あんこうの仲間たち

鮟鱇のイラスト

一風変わった特徴をもつ「あんこう」は、深海魚の中でも比較的イメージをしやすい魚かもしれません。
実際に食用のあんこうに慣れ親しんでいる地域では、「アンコウ」と「キアンコウ」共通の特徴である「潰れたように平べったい体と大きな口」をイメージする人が多いのではないでしょうか。
一方、図鑑や絵本であんこうを見たことがあるだけの人は「ちょうちんのような光る釣り竿をもつ姿」や、「風船のように丸く膨らんだフォルム」など面白い特徴をもった魚を想像するのではないでしょうか。

どちらも正解のあんこうですが、皆さんがイメージする典型的なあんこう以外にも、世界には変わった進化をとげた数多くのあんこうの仲間が発見されています。
先ずは、私たちの食卓に上がるアンコウ目アンコウ科の美味しい仲間を詳しく解説します。

続いて、頭のてっぺんにまるで行燈のような光る突起を有するチョウチンアンコウ科と、カラフルで愛らしいフォルムのカエルアンコウ科、ゴム風船のような丸い体形のフサアンコウ科の4科を紹介します。
「え!?あんこうってこんなに面白い魚なの?」と、びっくりするような種類に出会えるか、ご期待ください。

美味しいアンコウ科

食用のあんこうはアンコウ科にのみ属しています。
美食家の舌を喜ばせる美味しい種類と言えば、アンコウ科の仲間たちです。
「骨以外は捨てるところがない」と評判のあんこうは、「七つ道具」とうたわれる各部位(ぬの(卵巣)、えら、とも(ひれ)、胃(水袋)、肝、だい身(柳肉)、皮、)の味わいを堪能することが出来ます。

アンコウ科は「アンコウ属」、「キアンコウ属」、「ヒメアンコウ属」、「Sladenia属」の4属で成り立っています。
ヒメアンコウ属のノドグロヒメアンコウやシモフリハナアンコウは、底曳き網の漁にて稀に引っかかることがあるそうですが、どちらも小振りな種で食用としての商品価値は低く、単体で流通することはないと言われています。
まれにフサアンコウ科の魚が網にかかることもあるそうですが、日本において漁業資源として水揚げされているのは、「アンコウ属」のアンコウと「キアンコウ属」のキアンコウで、この2種類を主に食用としています。

アンコウとキアンコウを種類分けするようになったのは、江戸時代(1603年~1868年)頃からと言われています。
市場では、アンコウは別名「クツアンコウ」と、キアンコウは別名「ホンアンコウ」と呼ばれています。
キアンコウに比べるとクツアンコウはやや小ぶりですが、市場ではあえて区別せずに流通しています。

この2種の特徴は、茶系の皮にはウロコがなく、ヌメヌメとしていて、上から押しつぶされたような扁平な体をしています。
素早く泳ぐことは出来ませんが海底では安定する体型で、発達した腕のような胸ビレで海底を這うようにして移動します。

「イリシウム」と呼ばれる誘引突起を口の上にもっており、先端の「ルアー」と呼ばれる疑似餌をユラユラと揺らして獲物をおびき寄せては、大口で飲み込んでしまう、釣り名人な魚です。
あんこうは、とても大きな口の上下に針のような歯を有していますが、獲物は基本丸呑みにします。
貴重な獲物が逃げられないように、鋭い歯が内側に傾くように生えているのが特徴です。

それぞれ水深25m~500m前後の深海に生息しており、主に底引き網漁によって水揚げされています。
日本では、北海道から九州にかけて日本海側と太平洋側に広く分布しています。
他にも東シナ海、朝鮮半島など生息海域も両種は似ていますが、アンコウはキアンコウに比べると漁獲量は少なくなっています。

キアンコウ属のあんこうは海外でも食べられており、ヨーロッパではアングラー(市場名はニシアンコウ)、アメリカではアメリカアングラー(市場名はアメリカアンコウ)が主に流通しています。
アングラーは体長2m前後で体重60㎏程、アメリカアングラーは体長1.2m前後で体重20㎏程と、どちらも大型のあんこうとなっています。

暗い深海を照らすチョウチンアンコウ科

チョウチンアンコウ科の種類は、釣り竿のような細長い突起の先端が光ることで有名です。
アンコウ目チョウチンアンコウ科に分類され、現在18種のチョウチンアンコウが発見されています。

誘引突起「イリシウム」は光る先端「エスカ」をもち、暗い深海をほんのりと照らして、餌となる獲物を誘い出しています。
太陽の光が届かない深海では、他の魚からあんこうの姿は見えず、光るエスカを口の前で動かしてその光に誘い出された獲物をでっかい口でパクリと食べてしまいます。

なぜエスカが光るかというと、エスカの中には発光バクテリアが住んでいるからです。
発光バクテリアは、チョウチンアンコウから栄養をもらい、チョウチンアンコウは代わりに獲物を捕らえやすい「明かり」を得ているのです。

このように異なる種類の生き物が、互いに助け合い生きていることを「共生」といいます。
素早い泳ぎで餌を捕らえることの出来ないチョウチンアンコウは、暗い深海の底でジッと動かず、その明かりで魚をおびき寄せているのです。

色彩豊かなカエルアンコウ科

カエルアンコウは、胸ビレを前足のように使って水底を歩く様子がとても可愛らしい小型のあんこうです。
ひと口にカエルアンコウと言っても、黄色や赤、白、黒っぽい種類まで様々で、世界には約40種、日本では15種のカエルアンコウが確認されています。
カエルアンコウは、ひとつとして同じ色や模様をもつものがいないと言っても過言ではないほど、変異に長けたあんこうです。

代表的な種類として、イロカエルアンコウ、ベニカエルアンコウ、クマドリカエルアンコウ、オオモンカエルアンコウなどが挙げられます。
卵型の恐竜のような可愛らしい体形をしており、あんこうと聞いて一般的にイメージされる地味なあんこうとは異なり、みにくい印象を払拭するあんこうです。
その可愛らしい姿から観賞用としての需要があり、海水魚を扱っているショップでその姿を観ることが出来ます。

平均して水深20m~200m以浅の岩礁域やサンゴ礁域に生息し、体長8㎝程の小型種から30㎝程の大型種まで幅広く存在しています。
一部の種類は食べられないことはありませんが、飲食店へ流通することはなく、食用向きの種類ではありません。

まるで風船のよう!フサアンコウ科

見た目は水風船のようにブヨブヨとしていて、適度な丸みを帯びた体形と細長い尾をもっています。
丸くずんぐりとした体形は素早く泳ぐことは出来ず、岩礁や砂泥の海底などでジッと静止しながら、イリシウムを使って獲物をおびき寄せています。

色はカラフルでピンクやオレンジ系の暖色が多く、中には緑色の斑点をもっているなど、見た目にも鮮やかなあんこうです。
フサアンコウは、幼生時の透けたような青から次第に濃い青へと変化し、成魚になると赤っぽい色へと変わり、成長と共に色味が変化する面白さが注目を浴びている魚です。

一番大きな種類で体長は35㎝ほどで、水深90m~2,000mの大陸斜面や隆起した海底などに生息しています。
太平洋、大西洋、インド洋など、世界中の深海に生息する海水魚です。
日本近海では「ミドリフサアンコウ」が最もよく見かける種類で、その他「ハナグロフサアンコウ」や「ホンフサアンコウ」はレアな種類ですが、発見されています。

底引き網や延縄漁法により偶然網にかかると、漁師たちの間で鍋物やみりん干しにされて食べられています。
愛知県と三重県では、干物や鮮魚で流通があり販売されています。

不思議に溢れた面白い魚「あんこう」

チョウチンアンコウ

あんこうは、とくに毒をもっている訳ではないので、食べようと思えばどの種も食べられます。
しかし、食品として活用され水産資源となっているのは、主に「アンコウ」と「キアンコウ」の2種類しかいません。
低脂肪でコラーゲンが豊富な身質と、食味の異なる部位を楽しめるあんこうの魅力は、美味しさ以外にも様々な不思議な特徴をもつ種がいる興味深さです。

あんこうの面白さは、不器量な顔立ちと不器用な泳ぎで少々滑稽な面をもちつつも、過酷な環境の深海で生き抜く進化をとげた驚異の生態にあると感じます。
光の届かない深海に生きるチョウチンアンコウは、発光バクテリアとギブアンドテイクの関係で共生している不思議な魚でした。
「魚が魚を釣る」ために進化したあんこうの誘引突起「イリシウム」は、泳ぎが苦手なあんこうの最大の弱点をカバーする最強のアイテムと言えます。

また、潰れた形の大きな体や裂けたような大口で、お世辞でも可愛いと言い難いグロテスクな顔をしたあんこうですが、その仲間に熱帯魚のように美しく可愛らしい種類がいたことにも驚きです。
暗黒の深海は未知の領域なので、世界の海にはきっとまだ発見に至っていない種類のあんこうが秘かに生息しているのだろうと思うと、わくわくしてきますね。

食べて美味しいだけでなく、いろんな種類のあんこうの存在や、不思議で面白さに溢れたあんこうの世界を少しばかり伝えることができたでしょうか。
これはまだあんこうという魚のページを、一部開いただけにすぎません。
あんこうの世界は興味深く、未発見のさらなる不思議で満ちているのです。

2024-02-16作成/2024-02-16更新]

下関海産物問屋

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