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長寿のシンボル

「魚の王様」と呼ばれている鯛は、日本を代表する魚と言っても過言ではありません。
古くから神社仏閣とも結びつきの強い大変縁起のよい魚で、七福神の一神である恵比寿様が小脇に抱えている紅色の魚が、まさに真鯛です。
美しい容姿とその身の美味しさは日本人の生活と切っても切れない間柄の鯛。
洒落を効かせた、おめでタイ、などのセリフと共に、喜ばしい御祝の席には必ずと言っていいほど鯛が登場します。
私たちと馴染み深い魚のはずですが、名称となっている「鯛」の字はなぜ魚偏に周と書くのか、またなぜ「タイ」と呼ばれるようになったのかなど、意外と知らないのではないでしょうか。
その由来はひとつではなく、しかしどれも腑に落ちるポイントがあるようです。
鯛にまつわる事柄を調べていくと、古くは古歌や俳句、ことわざなど、鯛を題材にしたものを実に多く目にします。
作品内での鯛は、秀でた価値や美しさ、子の成長を喜ぶ描写に用いられ、昔も今も鯛のポジションに変わりがないことを伺い知れます。
ちょっとしたハテナを掘り下げながら、日本で愛されている鯛の生態や種類を紹介します。
また、鯛の登場する作品を楽しみつつ、様々な謂れや歴史を多角的な面から探っていきます。

「鯛」の語源を探る

「鯛」の語源を探る

鯛は長く日本人の生活に密着してきた魚だけに、漢字や呼び名の由来には諸説あります。
どの説も理由を聞くともっともらしく、本当のところ、どれが真相かは知る由もありません。
沢山の説が生まれたのは、鯛が人々に愛され、馴染み深い魚である証拠と言えるでしょう。

「鯛」の漢字と「タイ」の呼び名について、由来巡りをしていきます。
そして、日本人の格言とも言えることわざや、文化である古歌や俳句に登場する鯛にまつわる代表的な作品を紹介します。

「タイ」と呼ぶ名の由来

鯛をタイと呼ぶようになった由来は諸説あり、いかにもと思える理由ばかりでどれが本当か気になるところです。
どの説であっても納得いくのは、人と鯛との関わりが長いからかもしれません。

朝鮮語の訛り説

鯛は、古事記(712年)に「赤チヌ」と表記されていますが、その後の和名類聚抄(931年~938年)では「太此(タヒ)」の和名で紹介されています。
その変化は、日本に渡来した帰化人の影響を受けたためです。
朝鮮語で鯛を意味する言葉「トミ」が訛って「タイ(古代日本語表記ではタヒ)」と呼ばれるようになりました。

「平魚(タイラウオ)」説

平安時代の法令集である延喜式(927年)に、鯛は体が幅広い楕円で平らなことを意味する「平魚(タイラウオ)」と記載されています。
そこからタイと呼ばれるようになりました。
一般的にこの説が有力と言われており、国語辞典にも採用されています。

「めでたい魚」説

鯛は、縁起のよい紅白を連想させる緋色の容姿が美しく、晴れの日に相応しい魚です。
また、40年近く生きる長寿の魚としても縁起がよく、「めでたい魚」という言葉が変化してタイという呼び名になりました。

「魚の王様」説

鯛は見た目も味も一級品の魚種であるため、海の王者としての階級「大位」が与えられ、川の王者である鯉には「小位」が与えられました。
高位を表す「大位(たいい)」の言葉が変化してタイと呼ばれるようになりました。

「鯛」の漢字がもつ意味

「鯛」という漢字は、日本書紀(720年)や万葉集(7世紀後半~8世紀後半)に既に使用されています。
周防の国(今の山口県)でたくさん漁獲される魚だったので、魚偏に「周」の字が当てられたという説があります。
また、鯛の体が平らな様子を偏平の意味をもつ「周」の字を使って鯛と表した、という説もあります。

一般的には、「周」の漢字には「あまねし(広くゆきわたる、普遍)・めぐる」という意味があり、日本のどの海域でも周年獲れる魚だから鯛とした、との由来が最も広く知られています。
「周」の持つ意味をさらに掘り下げ、「調和のとれた魚」の意味を重んじて祝の席に用い、先祖代々に広く幸福をゆきわたらせるという祈りを込めて鯛とした、との説もあります。

鯛にまつわる言葉シリーズ

鯛は、古くから日本人の生活に寄り添ってきました。
現代でも人気の五・七・五の三句十七音から成る俳句は、江戸時代(1603年~1868年)から詠まれており、例えば「桜鯛」は春の季語、「黒鯛」は夏の季語として用いられています。
また、更に古く奈良時代(710年~784年)に成立されたとされる日本最古の和歌集「万葉集」をはじめ、新古今和歌集など古歌の中にも、鯛は度々登場しています。

ことわざや古歌、俳句など、人々の暮らしの様々なシーンを描写する作品内での登場の仕方によって、鯛の位置づけや、愛着や親しみを感じ取ることができます。
鯛にまつわる言葉の文化作品から代表的なものをご紹介しましょう。

ことわざ

ことわざは、昔から伝わる人々の知恵や風刺、教訓など、人生のヒントが隠された言葉です。

海老で鯛を釣る(えびでたいをつる)
本来、すぐれた素質や高い価値のあるものは、多少状態が悪くなってもその価値は損なわれないことのたとえ。
魚は鯛(うおはたい)
魚類の中では鯛が最上であるという意味から、その類の中で最も優れたもののたとえ。
鯛なくば狗母魚(たいなくばえそ)
必要となる良いものがない場合は、それより劣っていても代わりのもので我慢するしかないことのたとえ。
内の鯛より隣のイワシ(うちのたいよりとなりのいわし)
自分の持っているものより、他人の持っているものがよいものに見えること、羨ましく思うことのたとえ。
鯛もヒラメも食うた者が知る(たいもひらめもくうたものがしる)
鯛やヒラメの味わいがわかるのは、実際に食べたことのある人だけというたとえで、知識より実際の経験に勝るものはないという意味。
鯛の尾よりイワシの頭(たいのおよりいわしのかしら)
大きな団体の中で人の後ろに居て従っているよりは、小さな団体でもそのかしらとなる方がよいことのたとえ。
鯛も一人では旨からず(たいもひとりではうまからず)
鯛のようなご馳走でも、一人で黙って食べたのでは美味しく感じられないことのたとえから、食事は誰かと一緒に食べてこそ美味しいという意味。
河豚にも中れば鯛にも中る(ふぐにもあたればたいにもあたる)
ついていない時は、安全なものでも時には害となりうることがあるという例えから、ふぐは毒があるため中毒の危険性があるが、毒のない鯛でもあたる時があるという意味。

俳句

俳句は、五七五の十七音からなる定型詩です。季語を入れて四季や日々の情景、感情などを表しています。

塩鯛の 歯ぐきも寒し 魚の店 (松尾芭蕉・1644~1694年)
解説:歯をむき出した塩鯛(鯛の干物)が、海が荒れて入荷商品の殆どない魚屋の店先に無造作に置かれている。その荒涼たる店の佇まいと鯛の干物の様子が、冬の寒さを一層際立たせる。
重箱に 鯛おしまげて 花見かな (夏目成美・1749~1817年)
解説:重箱に入りきらないくらい大きな鯛を押し曲げて詰めた。作者の裕福さと、花見の豪勢な酒肴の様子が伺える一句。
俎板に 鱗ちりしく 桜鯛 (正岡子規・1867~1902年)
解説:剥がした桜鯛の鱗が、俎板の上に散った桜のように感じられてとても美しい。
成人の日の 大鯛は 虹の如し (水原秋桜子・1892~1981年)
解説:作者が70歳代で詠んだことから、孫が成人したことを寿ぐ一句であろう。虹のように美しい大鯛と、まぶしいほどに立派である孫を祝福する句。
大いなる うろこ飛び散る 桜鯛 (山口波津女・1906~1985年)
解説:美しい桜鯛の生き生きとした様子を詠った一句。真鯛は春になると産卵直前の雌より雄の方が美味しい。活きのよさから美味しそうな雄の真鯛の様子がうかがえる。

古歌

古歌は、昔の人が詠んだ和歌です。貴族や教養層のたしなみのひとつとして自由な思いが詠まれています。

醤酢(ひしほす)に蒜(ひる)搗(つ)き合(か)てて鯛願ふ吾にな見せそ水葱(なぎ)の羹(あつもの) (「万葉集」長意吉麻呂)
解説:酢醤油に蒜(ネギ類の野蒜)を混ぜ、鯛につけて食べたいと願っているのに、まずい水葱の羹(水アオイの汁物)など見せてくれるな
逢ふことを阿漕の島に曳く網のたびかさならば人も知りなむ (「古今和歌集」読み人知らず)
解説:昔三重県の阿漕が浦は、伊勢神宮に奉納する魚を獲る特別な漁業区域で、一般人は禁漁とされていた。病気の母のため密漁をした漁師が、度重なった行為の末ついには見つかってしまった。人知れず行う隠し事も、度重なれば広く人に知られてしまう。

本物の鯛とあやかり鯛

本物の鯛とあやかり鯛

私たちが普段イメージしている鯛は、おそらく色鮮やかな真鯛(マダイ)のことでしょう。
しかし赤い色をした鯛の種類は意外に少なく、日本で獲れるヘダイやクロダイは銀や黒い体色をしています。
赤い色をした鯛のルーツは温暖な気候で知られるアフリカにあると言われており、地中海から進化しつつ日本に移動してきたようです。

分類学において、全世界にタイ科の魚は六亜科二九属あり、その数は100種を超えるほど豊富で、「〇〇タイ」とタイを名乗る魚においては、世界中に300種以上も存在しています。
私たちと馴染み深い鯛ですが、実は、日本で流通しているタイ科の魚はマダイ属、チダイ属、キダイ属、クロダイ属の4種類しかありません。

実は、キンメダイやアマダイは鯛の仲間ではなく、福を招き入れたいとの思いから、鯛のもつ縁起のよいイメージにあやかって名付けられた、とも言われています。
日本近海に生息するタイ科の魚、13の種類について、まとめてみました。

日本近海に生息する代表的な鯛

日本で「鯛」はスズキ目スズキ亜目タイ科に属する13種の魚をいいます。この13種が正真正銘の「鯛」と認識されています。
広辞苑には「体は平たい楕円形で、多くは淡紅色のタイ科の海水魚の総称」と記されています。
世界には6亜科の鯛が分布していますが、ここでは日本産のタイ科魚類である3亜科13種を詳しく紹介します。

キダイ亜科

キダイ属、セナガキダイ属に属している3種です。

キダイ(黄鯛)
主に西日本で出回っており、流通市場ではレンコダイ(連子鯛)の呼び名で知られています。
体全体は黄色みの強い赤で、目から口にかけて黄色い体色をもっています。
4年ほどで体長25㎝前後へ成長し、マダイほど大きくならないので、一人一匹あてがわれる祝い膳などに用いられます。
キビレアカレンコ(黄鰭赤連子)
黄色みの強い薄紅色の体で、背中に美しい黄色のヒレを持っています。
沖縄以南で水揚げされる南国のキダイで、体長30㎝前後まで成長します。
白身は加熱しても硬くなりにくく、焼き物や汁物など幅広い調理に向く食材です。
ホシレンコ(星連子)
薄い桃色の体色にコバルトブルーの円斑をもち、これが星のように見えることからこの名がつきました。
奄美諸島近海にしか生息していない固有種で、非常にレアな魚種なためお目にかかることは少なく、安定した市場への入荷はないようです。
やや厚めの皮に旨味があり、水分の多いしっとりとした白身をもっています。

マダイ亜科

マダイ属、チダイ属、タイワンダイ属に属している4種です。

マダイ(真鯛)
タイ類の代表格マダイは、養殖を必要とするほど年間を通して最も需要の高いタイ種です。
20年生きると100㎝を超えるほど成長し、約40年という寿命の高さから全長120㎝に達するものもあり、大型の魚に属しています。
地方名としては、オオダイやオオトクダイ、マコダイなど呼び名もバラエティー豊かです。
太平洋の日本沿岸各地で水揚げされる美しい紅色をしています。祝い膳に欠かせない祝宴の食材としての需要や、その味わいも相まって高級魚とされています。
チダイ(血鯛)
エラぶたの後ろが真っ赤な血がにじんだように見えることから、この名がつきました。
明るい赤の体色の中に青い斑点があり、腹は白くなっています。体長40㎝前後まで成長し、北海道南部から九州沿岸までと、日本各地の沿岸で水揚げされます。
江戸前を代表する魚のひとつでもあり、関東ではマダイの次に評価の高いタイ種です。
ヒレコダイ(鰭小鯛)
体色は淡赤色で、背側から腹側にかけて淡くなっており、成長すると体長35㎝前後になります。背ビレの3、4番目が非常に長いのが特徴です。
東シナ海の南方域に生息していますが、現在では水揚げが少なく、希少価値の魚種で店頭ではほとんど見かけないほど減少しています。
皮に鯛特有の甘味のある香りをもち、身離れのよい上品な白身の鯛です。
タイワンダイ(台湾鯛)
その名の通り台湾方面に生息し、日本では四国~琉球列島など比較的温暖な海域で漁獲されます。
体長40㎝前後の大きさがあり、淡い桃色の体色で、背ビレ前方が赤くリボンのように長く伸びています。
沖縄本島で「ヨナバルマジク」の呼び名で親しまれおり、沖縄や九州を中心に食されています。
味もよいとされ高級魚として流通していますが、流通量は少ないレアな魚種です。

ヘダイ亜科

ヘダイ属、クロダイ属に属している6種です。

ヘダイ(平鯛)
マダイと形がよく似ていますが、体色が銀色なのが特徴です。
日本海や西太平洋沖、東シナ海など幅広く分布しており、水揚げされた産地でほとんどが消費される傾向にあります。
値ごろな割に味がよいので、見かけたら一食の価値ありです。
クロダイ(黒鯛)
その名の通り鯛の中では桜色ではなく、銀黒色した個体です。
チヌとの別名で親しまれ、北海道から九州南岸まで幅広く分布しており、体長50㎝前後と大きくなる種類です。
現在、クロダイの正確な寿命は判明されていませんが、50㎝を超す老成魚のクロダイは、長寿の賞賛を込めて「年なしのチヌ」と呼ばれています。
浅い海域にも生息し、大物なことから釣り甲斐のある魚種として人気が高く、釣り人から愛されています。
鱗は銀黒色ですが、血合いが美しい赤で、白身と赤のコントラストが見目にも華やかなので、刺身などが人気です。
上品でありながら、旨味が豊かで味もよいとされているタイです。
ミナミクロダイ(南黒鯛)
屋久島から琉球列島の熱帯域に生息する固有種のクロダイです。
体全体が燻した様な銀黒色で、クロダイほどではないが体長45㎝前後と大きく成長するタイです。
沖縄ではチンとの呼び名で親しまれ、南の地でも釣り人に人気です。
身は美しい白身で、刺身はもちろん塩焼きもあっさりとしていて美味しいタイです。
キチヌ(黄茅渟)
別名キビレとも呼ばれる通り、クロダイより白っぽさが目立つ銀黒色で、ヒレが黄色です。
体長45㎝ほどまで成長し、昔は関東ではほとんど見かけない魚種でしたが、昨今は関東にも入ってくるようになったものの、今でも西日本を中心に流通しています。
血合いの赤味が美しく、透明感のある白身をもっており、とても旨味のある魚です。
ナンヨウチヌ(南洋茅渟)
南洋の言葉通り八重山諸島やパプアニューギニアやオーストラリアなど、温暖な海域に生息しています。
体長は60㎝近くにもなる大型で、キチヌと比べてもさらに体高があります。体色は燻したような銀黒色をしており、ヒレは黒っぽいのが特徴です。
日本の市場ではポピュラーな魚種ではなく、食べる機会はあまりないレアな魚です。
オーストラリアキチヌ
戦後、沖縄で水揚げされたことがあったため、日本で漁獲される種類にランクインしましたが、その名の通りオーストラリア東海岸を主として生息しています。
全長60㎝前後と大型の種類で、お腹は白っぽく、体色はキチヌに似ており、ヒレが黄色をしています。
オーストラリア市場では一般的な白身の魚として親しまれています。

愛慕から生まれた「あやかり鯛」

「あやかり鯛」とは、タイ科に属していないにもかかわらず○○タイの名がつく魚で、その数はなんと、200種以上も存在しています。
その美味しさが鯛に引けを取らないとして「タイ」の名を受けたものや、赤い体色だから「タイ」と名付けられたものなど、鯛の人気にあやかり命名されたと考えられています。
昔から、タイがその場にあるだけで席が盛り上がるという、縁起好きな日本人らしい歴史を垣間見られる面白さがあります。

実は鯛の仲間ではないのだけれど、勘違いしていたかもしれない「〇〇タイ」の代表を3種ご紹介します。
偽物と侮るなかれ、実は本物の鯛よりも高級でおいしい魚だったりするのですよ。

アマダイ(甘鯛・尼鯛)
アマダイは、スズキ目アマダイ科に属しています。
水深30~150メートルの砂泥地に生息しているアマダイは「冬の女王」との別名をもち、産卵前後の11月~2月が旬の高級魚です。
京都でグジと呼ばれるアマダイは京料理には欠かせない最高級魚で、「丹後グジ」のブランドで認証されています。
アマダイは体色によって、アカアマダイ・キアマダイ・シロアマダイと、3種に分かれています。
一般的にアマダイと言うと、ピンク色の体の側面に黄色の縦縞があるアカアマダイを指し、ほのかな甘みのある上品な味が人気です。
イシダイ(石鯛)
イシダイは、スズキ目イシダイ科に属しています。
コリコリとした食感の身は脂ののりがよく、「磯の王者」との異名があるように野性味のある磯の香りが特徴の高級魚です。
幼魚の体は白と黒の縦縞模様がありますが、雄は成長すると白の縞はなくなります。
成魚となった雄は口の周りが黒くなることからクチグロと呼ばれ、風格のある魅力を放ちます。
一方、雌は成魚となっても白黒の縦縞模様のままで、外見の違いがはっきりと表れます。
50cmを超える大きさがあり、老成した80cmを超えた灰黒色に輝くイシダイは見事です。
キンメダイ(金目鯛)
キンメダイは、キンメダイ目キンメダイ科に属しています。
キンメダイは水深200~800mに生息する深海魚で、鮮やかな紅色の体に大きな金色の目を持つ印象的な姿をしています。
キンメダイは生きている化石とされる古代魚で、1億年前からの原始的な骨が頭蓋骨の中に残っています。
甘い脂とやわらかな身質をしており、美しい姿とその美味しさから、千葉県では「冬の真鯛」と称され、祝い魚として食べられています。

日常の喜びに鯛がいる

日常の喜びに鯛がいる

鯛の名前の由来をみると、平たい姿から平魚(タイラウオ)名づけられたのではないかという説が有力だとわかりました。
平凡に感じますが、「周」の字に込められた祈りの意味を知ると、感慨深いものがあります。

40年以上の長い寿命をもつマダイをはじめ、平均寿命が20~30年といわれる鯛は、長寿を願う人々にとって縁起の良い魚です。
20年生きたマダイは全長100cmにもなる特大サイズとなり、堂々たる風貌の美しい姿に福を重ねる所以がわかります。

魚の王様と言われている鯛は、魚の代表格として文献にも多く登場していました。
日本人の生活が垣間見える古歌や俳句などで出会う鯛から、鯛が生活の一部だということをひしひしと感じます。
「腐っても鯛」などは、誰もが鯛の価値を当然のように高く評価しているからこそ発する言葉ですから、おもしろいですね。
鯛は魚の王様として、立派さの例えだったり、美味しさを謳ったものだったりと、確固たる地位を確立してきました。

見た目の美しさもさることながら、鯛の白身魚としてのふっくらと柔らかな身質や豊富なコラーゲンのぷりぷりした味わいは、非の打ちどころがない存在感を放ちます。
上品な鯛は生でも煮ても焼いても美味しく、さらにしっかりとした骨からは極上の出汁が取れ、食材としても万能選手です。

また、日本のあちらこちらで獲れるタイと名の付く魚は種類が多いですが、正真正銘の鯛はわずか13種とは驚きの事実でした。
あやかり鯛という存在が誕生するほど、鯛の格は高く、好ましい印象をもつ魚だということです。

そして、時が流れた今もなお、喜びをイメージさせる存在である鯛に敬意を感じます。
日本人の生活に寄り添ってきた鯛は、伝統と共にこれからも愛され続けることでしょう。

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