非常にポピュラーな食材としておなじみな鰻。
かつては高級食材のイメージもありますが、最近ではスーパーで手軽に購入することが出来るようになり身近な存在となりつつあります。
しかし、その一方でまだまだ謎に包まれた部分が多い魚でもあります。
そもそも生態や繁殖方法などが明らかになっておらず、養殖に関してもまだまだ発展途上の状況なのです。
魚の場合、安定供給のためには養殖が不可欠となります。
しかし鰻はある程度の実用化には成功しているものの、莫大な供給に耐えうるような量産化には成功していないのです。
日本における鰻の歴史は養殖へのチャレンジの歴史と言い換えてもよいでしょう。
日本で最初に養殖の試みが行われたのは明治24年。
つまりすでに100年以上の歴史を持っているのです。
場所は浜名湖。
現在でも国内随一の鰻の名産地として知られる場所です。
太平洋戦争中に一時期廃れましたが戦後に復活、現在でも養殖の中心地でありつづけています。
ただ、浜名湖の養殖でも完全な人工養殖とはいかず、黒潮に乗ってやってくるシラスうなぎの稚魚を捕獲する形で行われます。
最近になって人工孵化に成功したものの、生まれたばかりの鰻が何を食べているのかわからない状況なのです。
21世紀に入ってから鰻の生態の研究が目覚しく進み、その実態が少しずつ明らかになりつつあります。
鰻の養殖に関してもこれから進歩していくところなのでしょう。
これからどう進展していくのか、量産化が可能になるのかどうか、期待して見守りたいところです。
現在提供されている鰻を見てみると、天然物と養殖物とがあります。
両者の間には、何か違いのようなものがあるのでしょうか?
実は最近の鰻の養殖を見てみると、かなり技術が向上しているようです。
このため、天然か養殖かを見比べることはかなり難しいといわれています。
少なくても、調理をした後の鰻を見て、両者を区別するのはプロでも至難の業といわれています。
ただし、下り鰻に関しては、養殖と見分けがつくといわれています。
産卵時期を迎えたウナギのことを下り鰻といいます。下り鰻の特徴として、腹部と側面のところが黄金色を帯びていることが挙げられます。
また皮のところは、普通よりも厚みを増していることも特徴として、指摘されます。養殖の鰻は産卵をすることがないので、このような特徴を持つことはありません。
味に関しては、確実性を求めるのであれば、養殖物の方がいいといわれています。
養殖されたウナギの場合、きちんと環境が管理されている状況の中で飼育されています。
このため、どのウナギも一定の水準の中で育てられていて、食べるものも一緒です。しかも出荷する前には、きちんと検査を実施しています。
そして基準をクリアしたものを出しているので、外れはほとんどないといっていいです。
天然物の鰻の場合、当たり外れが激しいです。
環境が全く違ったところで生育するので、差が顕著になります。
しかし逆に言えば、最高のおいしい鰻は養殖の中というよりも、天然物の中の一部に出てくる可能性があるとも言えます。
大ヒットを狙うのであれば、天然物となるわけです。