次世代住宅ポイント制度の対象となるリフォームとは

次世代住宅ポイント制度の対象となるリフォーム

実は、リフォーム工事に対する経済的支援は、わりとたくさんあります。
例えばバリアフリーリフォーム、耐震性能向上リフォーム、太陽光発電システムの設置、省エネリフォームに対する補助を国や自治体から受けることができます。
また、介護保険制度による補助金、高齢者住宅改修費支援制度や障害者住宅改造費助成制度など支援が用意されており、一般のリフォーム工事であっても、地元企業への依頼を条件に自治体の補助を受けるなど様々な優遇制度が用意されています。
これらは性能の高い住宅が普及することや、地域経済の活性化を促すことを目的に設けられています。
しかし今回導入される次世代住宅ポイント制度は、消費税率引上げに伴う期間限定の制度で、一定の性能を満たす対象工事を実施するリフォームに対し、様々な商品などと交換できるポイントを発行する仕組みになっています。
残念ながら前述の優遇制度との併用は原則出来ませんが、消費税増税にともなう支援措置として還元を受けられるお得な制度といえます。
ところで、我が国における既存の総住宅数は、2013年総務省統計局の調査で6,063万戸と発表され、実に空き家率は13.5%、2008年に比べ約305万戸も増えている状況にあります。
海外からは新築を好む国民性を指摘されてはいますが、昨今、中古の住宅を購入し、自分のライフスタイルに合ったリフォームを施す若い人達も増えてきました。
この次世代住宅ポイント制度の大きな特徴として、若者・子育て世帯が既存住宅を購入しリフォームを行う場合に特別な還元幅を設けており、良質な住宅ストックの形成に資する住宅投資の喚起をしています。
では、制度の対象となるリフォームの工事期間と、その概要について紹介します。

1. リフォームの対象期間と特例

リフォームの対象期間と特例

対象となるのは全ての住宅における性能要件が満たされたリフォーム工事で、世帯により一戸あたり原則30万ポイントを上限にポイントが付与されます。
契約、着工、引渡しの期間が設けてあり、最終的に付与されるポイントを発行申請し、完了報告が可能なものに限られます。
消費税率10%が摘要されるリフォームに対して摘要されるため、引渡しは2019年10月1日以降とするのを条件に入れています。
また、若者・子育て世帯に対する応援や既存住宅の流通を促進するための特例を設けており、対象世帯にはポイントの引き上げを行っています。

対象となる住宅とリフォームの期間

居住要件としては、自ら居住する住宅に限らず賃貸住宅も対象となります。
建物の所有者となる方が、新たに発注(工事請負契約)をする必要があります。
2019年4月1日から2020年3月31日に請負契約・着工したものを対象とします。
ただし、2018年12月21日から2019年3月31日に請負契約を締結したものであっても、2019年10月から2020年3月31日に着工となるものは対象とします。

若者・子育て世帯の応援と既存住宅流通の促進

ここで言う若者世帯とは、閣議決定日である2018年12月21日時点で40歳未満の世帯を対象としています。
同じく子育て世帯とは、2018年12月21日時点で18歳未満の子を有する世帯、又はポイント申請時点で18歳未満の子を有する世帯を対象としています。
これらに該当する若者・子育て世帯が自ら居住する住宅でリフォームを行う場合、ポイントの上限は一戸あたり45万ポイントに引き上げられます。
さらに、既存住宅を自ら居住することを目的に購入した住宅で、売買契約締結後3ヶ月以内にリフォーム工事の請負契約を締結した場合、上限ポイント数は60万ポイントに引き上げられる特例が設けられています。
また、若者・子育て世帯以外の世帯であっても、自ら居住することを目的に購入した安心R住宅について、売買契約締結後3ヶ月以内にリフォーム工事の請負契約を締結した場合、ポイントの上限は一戸あたり45万ポイントに引き上げられます。
安心R住宅とは、耐震性があり、インスペクション(建物状況調査等)が行われた住宅であって、リフォーム等について情報提供が行われる既存住宅のことです。
安心して既存住宅を選択できる環境の整備を図るため、国の関与のもとで事業者団体が安心R住宅に標章を付与しています。

2. 該当する対象工事等

対該当する対象工事等

リフォームとは住宅の増改築や改装のことを差し、劣化したものを元に戻すといった意味合いで使われます。
例えば、古くなった浴槽を新しい物に取り替えるなどの改修で、新築当時の状態に現状を回復させるために行う改修工事です。
同じように使われるリノベーションという言葉がありますが、こちらは住む人のライフスタイルに合わせてゼロからつくり変え、住宅に新たな価値を加える改修工事をいいます。
次世代住宅ポイント制度におけるリフォームとは、住宅の性能を高くし良質な住宅ストック(中古物件)の形成を促しているので、リフォームとリノベーションに厳密な線引きはないように思います。
制度の対象となるのは、下記にあげる9件のいずれかに該当する工事等です。
次世代住宅ポイント制度の事務局に登録された型番の商品使用に限られる工事もありますので、確認しておきましょう。
なお、ポイントを申請する際には対象工事の内容に応じて証明書等の提出が必要となっています。

開口部の断熱改修

改修後の開口部の熱貫流率に基準値を設けており、該当する断熱改修を対象としています。
ガラスの交換は、既存窓を利用して複層ガラス等に交換する改修工事になります。
内窓に関しては、既存サッシの内側に新たに樹脂製の内窓を新設する改修、既存の内窓を取り除き新たな内窓に交換する改修工事です。
外窓では、既存の外窓を取り除き新たな断熱窓に交換する改修、新たに断熱外窓を設置する改修工事です。
他に、既存のドアを取り除き新たなドアに交換する改修、新たにドアを設置する改修工事が対象となります。

外壁、屋根・天井又は床の断熱改修

改修後の外壁、屋根・天井、床の施行部位ごとに、最低使用量以上の断熱材を使用する断熱改修を対象とします。
既存の断熱材を撤去し敷込断熱材等を施行、吹込断熱を施工するなどの改修です。
外壁の断熱改修は、既存の外壁を撤去し、敷込断熱等を施工します。
天井の断熱改修は、既存天井の断熱材を撤去し敷込断熱等を施工する、または、既存天井をそのままに吹込断熱等を施工します。
ただし、次世代住宅ポイント制度の事務局に登録された型番の商品を使用した工事のみが対象となります。

エコ住宅設備の設置

エコ住宅設備と言われる5種類の設備のいずれかを設置する工事を対象とします。
その概要と詳細は下記の通りです。

太陽熱利用システム

強制循環式のもので、JISA4112:2011に規定する「太陽集熱器」の性能と同等以上の性能を有することが確認できることを基準としています。
蓄熱槽がある場合は、JISA4113に規定する太陽蓄熱槽と同等以上の性能を有することが確認できることを基準とします。
太陽光発電システムではありません。

節水型トイレ

JISA5207:2011に規定する「タンク式節水Ⅱ型大便器」または「洗浄弁式節水Ⅱ型大便器」もしくは、JISA5207:2014に規定する「タンク式節水Ⅱ形大便器」または「専用洗浄弁式節水Ⅱ形大便器」と同等以上の性能を有することを基準としています。

高断熱浴槽

JISA5532に規定する「高断熱浴槽」と同等以上の性能を有することを基準としています。

高効率給湯器

高効率給湯器は、4つのタイプに分かれます。
エコキュート(電気ヒートポンプ給湯機)は、JISC9220に基づく年間給湯保温効率または年間給湯効率が3.0以上(ただし寒冷地仕様は2.7以上)であることを基準とします。
エコジョーズ(潜熱回収型ガス給湯機)は、給湯部熱効率が94%以上であることを基準とします。
エコフィール(潜熱回収形石油給湯機)は、連続給湯効率が94%以上であることを基準とします。
ハイブリッド給湯機(ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯機)は、熱源設備は電気式ヒートポンプと潜熱回収型ガス機器と併用するシステムで、貯湯タンクをもつものであり、電気ヒートポンプの効率が中間期(電気ヒートポンプのJIS基準に定める中間期)のCOPが4.7以上かつ、ガス機器の給湯部熱効率が94%以上であることを基準とします。

節湯水栓

JISB2061:2017に規定する「節湯形」の水栓と同等以上の機能を有することを基準とします。

バリアフリー改修

原則、バリアフリー改修促進税制の取扱に準じて3種類の改修工事と、対象設備の設置を対象とします。 その概要と詳細は下記の通りです。

手すりの設置

便所、浴室、脱衣室その他の居室及び玄関並びにこれらを結ぶ経路のいずれかに手すりを取り付ける改修工事です。
転倒予防若しくは移動又は移動動作に資することを目的として取り付けるものをいい、手すりの取り付けに当たって工事(ネジ等で取り付ける簡易なものを含む)を伴わない手すりの取り付けは含まれません。

段差解消

便所、浴室、脱衣室その他の居室及び玄関ならびにこれらを結ぶ経路のいずれかの床の段差を解消する改修工事です。
勝手口その他、屋外に面する開口の出入口及び上がりかまち、並びに浴室の出入口にあっては、段差を小さくする工事を含みます。
敷居を低くしたり、廊下のかさ上げや固定式スロープの設置などを行う工事をいい、取り付けにあたり工事を伴わない踏み台、段差解消板、スロープなどの据え置き等は含まれません。

廊下幅等の拡張

介護用の車いすで容易に移動するために、通路または出入口のいずれかの幅を拡張する改修工事です。
通路又は出入口(通路等)の幅を拡張する工事であって、工事後の通路等(当該工事が行われたものに限る)の幅が、おおむね750mm以上(浴室の出入口にあってはおおむね600mm以上)であるものをいい、通路等の幅の拡張を伴わない単なるドアの取り替えは含みません。

ホームエレベーターの新設

人を運搬するエレベーターで、戸建住宅または共同住宅専有部分に新設する工事です。
かごの天井の高さが2m以上のものを対象とします。

衝撃緩和畳

衝撃緩和畳を新設または入替えにより4.5畳以上を設置する工事です。
畳床がJISA5917に規定する「衝撃緩和型畳床」と同等以上の性能を有する次世代住宅ポイント制度の事務局に登録された型番の商品の使用と定められています。

耐震改修

旧耐震基準により建築された住宅を現行の耐震基準に適合させる工事を対象とします。
旧耐震基準とは、1981年5月31日までの建築確認において適用されていた基準で、震度5強程度の中規模地震で建物が倒壊せず、破損箇所は補修することで生活可能となる構造基準とされています。
1981年6月以降の新耐震基準では、震度5強程度の中規模地震ではほとんど損傷せず、震度6~7程度の大規模地震においても倒壊・崩壊しない構造基準が定められています。

家事負担軽減に資する設備の設置

家事負担軽減に資する6種の対象設備の設置する工事を対象とします。
また、次世代住宅ポイント制度の事務局に登録された型番の商品を使用した場合と定められています。
その対象設備と基準は下記の通りです。

ビルトイン食器洗機

電気用品安全法に規定する「電気食器洗機」で、組込形であることを基準としています。

掃除しやすいレンジフード

電気用品安全法に規定する「換気扇」であり、レンジフードのファンの形態が「遠心送風機型」で、整流板、グリスフィルター、ファン、油受け皿のいずれかの部品を備えていることを基準としています。
その場合、工具を使用することなく使用者が着脱可能で洗い掃除が可能な仕様であること、又は、レンジフードの清掃の祭、水(ぬるま湯)や台所用洗剤によって油煙汚れを除去しやすくする目的で、「はつ油(性)処理」「親水(性)処理」「ホーロー(琺瑯)処理」のいずれかの表面処理を施した仕様構造になっていることを基準としています。

ビルトイン自動調理対応コンロ

JISS2103に規定する「ガスコンロ」又は電気用品安全法に規定する「電磁誘導加熱式調理器」のうち、組込型で次の機能を有することを基準としています。
まず、コンロ部に設置した温度に自動で調節する自動温度調節機能があること。
そしてコンロ部又はグリル部に、調理開始から調理終了まで手動で操作を行わずに調理する自動調理機能があることと、炊飯機能を必須としています。

浴室乾燥機

電気用品安全法に規定する「電気乾燥機」「換気扇」「ファンコイルユニット及びファン付コンベクター」で、乾燥運転時に換気運転と連動し、温風で浴室内や浴室内に干された衣類の乾燥を行うもの(浴室内の天井に設置されたものに限る)であることを基準としています。

掃除しやすいトイレ

総高さ700mm以下に比較抑えていること、または背面にキャビネット(造作されたものを除く)を備え洗浄タンクを内包していること、または便器ボウル内を除菌する機能を備えていること、のいずれかを満たす節水型トイレを基準としています。

宅配ボックス

保安性、保管箱の防水性等の機能が確保されており、保管箱の剛性、錠の施錠強さなどの機械的な抵抗力及び安定性が確保されていることを基準としています。
また、使用時の安全性及び保安性が確保されており、表面の抵抗性、部材の耐食性等の耐久性が確保されているなど、全ての条件を満たすことを基準としています。

リフォーム瑕疵保険への加入

リフォーム瑕疵保険とは、リフォーム時の検査と保証がセットになっており、質の高い施工の確保や、後日欠陥を見つけた際に無償で直してもらえる保険です。
国土交通大臣(第4次安倍改造内閣において石井 啓一氏)が指定する住宅瑕疵担保保険責任保険法人が取り扱うリフォーム瑕疵保険及び大規模修繕瑕疵保険への加入を対象とします。

インスペクションの実施

インスペクションとは、構造耐力状の安全性、雨漏り・水漏れ、設備配管など、住宅の劣化状況や欠陥の有無などを目視可能な範囲で現況検査することです。
既存住宅状況調査技術者講習を修了した建築士が、既存住宅状況調査方法基準に従って行う建物状況調査(検査日が2018年12月21日以降)のものであることを対象としています。
共同住宅の場合は、住戸型のインスペクションであることが条件です。

若者・子育て世帯が既存住宅を購入して行う一定規模以上のリフォーム

次世代住宅ポイント制度において問われる若者世帯とは、閣議決定日である2018年12月21日時点で40歳未満の世帯を対象としています。
同じく子育て世帯とは、2018年12月21日時点で18歳未満の子を有する世帯、又はポイント申請時点で18歳未満の子を有する世帯を対象としています。
若者・子育て世帯が自ら居住することを目的に既存住宅を購入し、期間内に行う100万円(税込)以上のリフォーム工事(工事内容を問わない)を対象としています。
ただし、売買契約締結後3ヶ月以内にリフォーム工事の請負契約を締結する場合に限ります。

3. 生活の変化を予測したリフォームを

生活の変化を予測したリフォームを

国土交通省が行ったアンケート結果では、私達は住まいに対し「安らぎ・くつろぎ、団欒、安全、保険・安心材料、財産」などを求めているようです。
これから先、安心できる生活を望んでいるあなたが、現在の住居を快適な空間へとリフォームしたいと意識されるタイミングはいつでしょうか。
住宅の劣化、設備の不具合、子どもの成長、親の介護、自らの老後の生活、耐震性への不安、など、リフォームのきっかけは生活の不便性や不満を感じた時という、国土交通省の動向調査の結果があります。
特に緊急性のないリフォームは、経済面の計画や他に優先すべき生活との兼ね合いもあり、タイミングを掴みにくいかもしれません。
リフォームはライフスタイルの変化を予測して計画を立てることが大切です。
今回、次世代住宅ポイント制度の概要を見てみることで、これからの住宅に求められる重要点を教えられたように思います。
断熱性能は、光熱費を抑えて快適な室温を保ち、太陽熱を活用したり節水を心掛ける設備はエネルギー消費の抑制となり、環境に配慮した住宅となります。
バリアフリーは高齢者だけでなく、介護をする方にとってもノンストレスで使いやすく、小さな子どもにとっても優しい住宅で、生活に合わせ長く暮らせるでしょう。
地震の多い日本において耐震性は、安心した生活を営む非常に重要な要素になっています。
夫婦共働き家庭が増え、家事と育児の両立の中で時短となる家事負担軽減設備は女性の社会での活躍を応援できる住宅となります。
既存住宅購入に至っては、素人目によく分からない不安な要素は、リフォーム瑕疵保険やインスペクションといったプロの保証を受けることで軽減されます。
次世代住宅ポイント制度の目的のひとつに、性能の高い住宅を普及することがあげられています。
特に若者・子育て世帯が自分達の未来や次世代に残せる住宅の形を熟考し、制度を利用して経済的にリフォームで長持ち住宅を取得できると、お得に感じられるのではないでしょうか。