住宅ポイント制度の比較と活用

住宅ポイント制度の比較と活用

住宅エコポイント制度は、これまで2010年と2011年、2014年にも実施され、国の省エネ基準を満たすエコ住宅の対象工事にポイントが発行されました。
2019年の次世代住宅ポイント制度では、対象住宅及びリフォーム工事毎にポイントが付与され、1ポイントは1円相当に換算し、様々な商品と交換できるようになります。
今回、次世代住宅ポイント制度を設ける理由として、税率10%の消費税導入による景気悪化の緩和があげられます。
なぜ消費税が10%に引き上がるのかというと、日本の財政が赤字であることと、少子高齢化による財源の確保のためと考えられます。
消費税率の引き上げは私達消費者の財布にダイレクトに影響を与えます。
導入前の駆け込み需要と、その反動として買い控えが起こるなど、消費が冷え込み一時的な景気の悪化が予測されています。
その打開策として、政府は平成31年度予算案のひとつに住宅購入者等への支援という対応策を立てました。
それは次世代住宅ポイント制度というポイント付与による消費者への還元であり、約1,300億円を計上しています。
一定の省エネ性、耐震性、バリアフリー性能を満たす住宅や、家事・介護負担の軽減に資する住宅の新築やリフォームに対し、一定期間に限ってポイントを付与し還元する制度案です。

1. 次世代住宅ポイントとは

消費税率は2019年10月から10%に引き上げられました

我が国では1989年に初めて、税率3%の消費税が導入されました。
その後、1997年に5%、2014年に8%と増税され、2019年10月からは消費税率10%に引き上げられます。
これまで以上に家計の負担が増えるため、買い控えによる景気の悪化が懸念されるでしょう。
特に車や住宅といった大きな買い物は、増税前の駆け込みや、増税後の減退は日本の経済に大きな影響を与えます。
これまでも増税の度に国内の景気は落ち込み、当然税収も落ちるため、政府による景気対策が必要となります。
そこで、平成31年度予算案に、消費税率引上げを踏まえた住宅取得対策が組み込まれ、住宅購入や住宅のリフォーム工事を支援するための制度が創設されようとしています。

制度の目的を理解しよう

国土交通省は、本制度の目的・概要を下記のように発表しています。

「2019年10月の消費税率引上げに備え、良質な住宅ストックの形成に資する住宅投資の喚起を通じて、税率引上げ前後の需要変動の平準化を図るため、税率10%で一定の性能を有する住宅を取得する者に対して、様々な商品等と交換できるポイントを発行する。」

良質な住宅ストックとは、建物の性能が新築同様と評価される中古物件のことです。
建物の資産価値が高く生活しやすい住宅を長く大切に使っていこうという、住宅の循環型の消費スタイルの薦めです。
また税率引上げに伴い、地球や人に優しい次世代住宅の新築・リフォームをする人に向け、期間限定でポイントを付与するという景気対策となります。
テーマとしては、「環境」、「安全・安心」、「健康長寿・高齢者対応」、「子育て支援、働き方改革」に資する住宅の新築・リフォームが対象とされています。

対象となる住宅には性能条件と対象期間がある

対象住宅には要件があり、細かな住宅の性能や工事内容、契約・着工・引渡しの期間が設けられています。
新築はこれから建てる注文住宅と分譲住宅、すでに完成済みの分譲住宅の3つが対象で、いずれも自ら居住する住宅となっています。
リフォームに関しては、全ての住宅が対象となっています。
共通して、消費税率10%が摘要される、2019年10月1日以降に引渡しをうけるものを対象としています。

注文住宅の新築
2019年4月から2020年3月31日に請負契約・着工したもの。
完成前の新築分譲住宅
2018年12月21日から2020年3月31日に請負契約・着工したもので、かつ売買契約を締結したもの。
完成済みの新築分譲住宅
2018年12月20日までに完成済みの新築住宅であって、2018年12月21日以降、完成から1年以内に売買契約を締結したもの。
既存住宅のリフォーム
2019年4月から2020年3月に請負契約・着工したもの。

※ただし、増税前の駆け込み需要の反動として、増税後の需要減を緩和するため、注文住宅・リフォームに関しては、2018年12月21日から2019年3月31日に請負契約を締結するものであっても、着工が2019年10月1日から2020年3月31日となるものは特例的に対象とされます。

発行ポイント数はどのくらい?

ポイントは、条件に合わせて無制限に加算されるわけではなく、対象工事内容毎のポイント数の合計で発行され、上限内とします。
また、2万ポイント未満の場合は申請できません。

新築する際のポイント数

上限ポイント数 35万ポイント/戸
①一定の性能を有する住宅 30万ポイント/戸 又は35万ポイント/戸
②耐震性のない住宅の建替 15万ポイント/戸
③家事負担軽減に資する設備の設置 設備の種類に応じて設定

新築住宅に発行されるポイントの上限は、一戸当たり35万ポイントです。
標準ポイントとして一戸あたり30万ポイントが、エコ住宅、長持ち住宅、耐震住宅、バリアフリー住宅の新築に付与されます。
さらに優良ポイントとして、認定長期優良住宅、低炭素認定住宅、性能向上計画認定住宅、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)のいずれかの性能をもつ場合は、一戸当たり5万ポイントが加算されます。
その他、旧耐震基準で建築された耐震性のない住宅を除却し新築に建替する場合に、一戸あたり15万ポイントが加算されます。
除却は2018年12月21日以降とし、新旧どちらの建物もポイント発行申請者が同一であることが条件です。
また、オプションとして、家事負担軽減設備を設置するとポイントが付与されます。
例えば、掃除しやすいレンジフードは9千ポイント、ビルトイン食器洗機や浴室乾燥機などは1万8千ポイントと、計6種の住宅設備に応じたポイントが加算されます。

リフォームする際のポイント数

世 帯 既存住宅購入の有無 上限ポイント数
①若者・子育て世帯 既存住宅を購入しリフォームを行う場合 60万ポイント/戸
上記以外のリフォームを行う場合 45万ポイント/戸
②若者・子育て世帯以外の世帯 安心R住宅を購入しリフォームを行う場合 45万ポイント/戸
上記以外のリフォームを行う場合 30万ポイント/戸

リフォームに発行されるポイントの上限は4つのタイプに分けられ、異なっています。
リフォーム工事の対象となる住宅は、自宅以外の貸家も含む、全ての既存住宅が対象です。
特例として、若者・子育て世帯がリフォーム工事をする場合は、ポイントの上限は45万ポイントに引き上げられます。
若者・子育て世帯が既存の住宅を購入し、自ら居住する目的で100万円以上のリフォームをする場合は、一戸当たり10万ポイントが付与され、ポイントの上限は60万ポイントに引き上げられます。
若者・子育て世帯以外でも、安心R住宅(R:リユース・リフォーム・リノベーション)を居住目的で購入しリフォームをする場合は、ポイントの上限は45万ポイントに引き上げられます。
この制度で定められる若者・子育て世帯とは、閣議決定日である2018年12月21日時点で40歳未満であり、18歳未満の子を有する世帯、又はポイント申請時点で18歳未満の子を有する世帯を指しています。
対象となるリフォーム工事は、窓・ドアの断熱改修、外壁や屋根・天井又は床の断熱改修、エコ住宅設備の設置、バリアフリー改修、耐震改修、家事負担軽減に資する設備の設置、の6項目で、それぞれの工事内容に合わせたポイントが細かく設定されています。
その他、リフォーム瑕疵保険への加入、インスペクション(建物状況検査)の実施をするとそれぞれ7千ポイントが加算されます。
さらに、自ら居住することを目的として既存住宅を購入し、3ヶ月以内にリフォーム工事の請負契約を結んだ場合は、既存住宅購入加算として、特例でポイント数は2倍で加算されます。

2. 今までの住宅ポイントとの違い

今までの住宅ポイントとの違い

住宅エコポイント制度は、国土交通省、経済産業省、環境省の三省合同事業として2010年に始まりました。
少しずつ内容を変えてきた住宅ポイント制度は、2019年に4度目の導入となります。
エコロジーや省エネルギーといったエネルギーの無駄を省いて地球環境に優しい家造りは引き続き推進されていますが、今回は「次世代」に繋がる家造りを意識している制度となっているのが特徴です。
付与されるポイントは、1ポイント1円相当の商品やサービスと交換できる点は立ち上げ当時から変わっていませんが、ポイント交換商品には大きな変化が見られます。
時代背景にあわせて改定されながら、これまで繰り返し再開されている住宅エコポイントの流れを見てみましょう。

2010年度の住宅エコポイント制度

リーマン・ショックを機に、国の景気対策として住宅購入に対する国の支援事業のひとつに住宅のエコポイント制度は創設されました。
消費者にもCO2削減を目指した「エコ」への関心が高まり、家電製品にもエコ商品が増え、住宅にも省エネルギー性能が求められた時代です。
「明日の安心と成長のための緊急経済対策」として、約1,000億円の予算を立て、住宅エコポイント制度は閣議決定されました。
エコ住宅には、長期優良住宅に対応するような次世代省エネルギー基準が設けられました。
省エネ型エコ住宅の新築にはトップランナー基準相当で、次世代省エネルギー基準を満たす木造住宅が対象となり、一戸当たり30万ポイントが発行されました。
対象となったのは、持ち家のほか、借家、一戸建て、共同住宅の全ての住宅でした。
新築工事の一部に即時ポイント交換対象工事があり、追加工事費を最大で30万円減額することができました。
エコリフォームの対象工事には,窓の断熱改修、外壁や屋根・天井又は床の断熱改修、バリアフリー改修の3項目があり、それぞれの工事内容に合わせたポイントが設定されました。
実施された改修工事のポイントを組み合わせて、一戸あたり30万ポイントを上限に発行されました。
ポイント交換商品には、地域産品や省エネ・環境配慮商品、全国で使える商品券、地方独自の商品券などがありました。

2011年度の住宅エコポイント制度

2010年12月31日着工分で終了予定だった住宅エコポイント制度は、「新成長戦略実現に向けた3段構えの経済対策」として1年延長され、2011年7月31日までに工事着工したものまでを対象とし継続されました。
2010年度当所の1,000億円の予算に追加予算が加わり、総額で2,442億円となりました。
また、新たに太陽熱利用システムの設置工事が、ポイント発行の対象に追加されました。
エコリフォームには、節水型トイレ、高断熱浴槽の設置工事がポイント発行の対象に追加されています。

東日本大震災時の住宅エコポイント制度

2011年11月に「平成23年度第3次補正予算」が成立し、復興支援・住宅エコポイント制度が創設されました。
2011年3月11日に発生した東日本大震災の復興支援と、地球温暖化対策の推進に資する住宅の省エネ化、住宅市場の活性化のための支援対策です。
対象は、一戸建ての住宅、共同住宅などのエコ住宅の新築と、持家・借家の別によらずエコリフォームの工事でした。
新築の場合、被災地には、一戸当たり30万ポイント、その他の地域は15万ポイントが発行されました。
エコリフォームには、新たにリフォーム瑕疵保険への加入、耐震改修工事がポイント発行の対象に追加されました。
エコリフォームでは、改修工事の合計で30万ポイントが一戸当たりの限度とされました。
ただし、耐震改修工事にはさらに15万ポイントが付与されました。
また、ポイント交換商品として、被災地産品や被災地の商品券等、復興寄付(東日本大震災への義援金及び募金)、環境寄付(全国の環境保全活動を行う団体等への寄付)が登場しました。
復興支援・住宅エコポイントの予算は1,446億円でしたが、早期に予算枠に達したため、期間内でしたがポイント申請の受付を打ち切り終了するという事態がおこり問題となりました。

2014度の省エネ住宅ポイント制度

2014年4月に、17年続いた消費税の税率が5%から8%に引き上げられました。
「地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策」として、2014年度補正予算が創設され、経済波及効果の高い住宅に対するエコポイント制度が再開されました。
消費税率引上げによる住宅取得者の負担を減らす支援で約905億円の予算が立てられました。
対策の目的としては、「一定の省エネ性能を持つ住宅に対して支援をおこなうことで、省エネ住宅の建設や省エネリフォームの普及を図るとともに、消費者の需要を喚起し、住宅投資の拡大を図る」としています。
これまでの住宅ポイント制度の一部に変更があり、名称も「省エネ住宅ポイント」に変わっています。
まず、新築住宅の対象に、完成済み新築住宅の購入が追加されました。
販売会社などが発注した完成済みの新築住宅を所有者となる方が購入する分譲住宅です。
また、対象となる期間は、着工日基準から契約日基準に変わり、これまでより対象期間が長くなりました。
発行ポイント数は、新築及び完成済購入タイプには一戸あたり30万ポイントが発行されました。
エコリフォームでは、改修工事の合計で30万ポイントが一戸当たりの限度でしたが、耐震改修工事にはさらに15万ポイントが付与され、45万ポイントが上限となりました。
また新たな特例として、既存住宅を自ら居住することを目的に購入しリフォームを行う場合、10万ポイントを上限に追加加算されるようになりました。
対象工事には、エコ住宅設備である高効率給湯機、節湯水栓設置工事がポイント発行の対象に追加されています。
大規模なリフォームだけでなく、単独の設備エコ改修も対象となり、小規模なエコリフォームにもポイントを発行することで、還元を受ける消費者の幅を広げました。

3. 次世代住宅ポイントの活かし方

次世代住宅ポイントの活かし方

経済対策として導入される住宅エコポイントは、消費者のエコ・省エネに対する意識が高まり、環境面では二酸化炭素排出量の削減効果も評価され、大きな経済効果もあらわれるなど、良い成果がでています。
住宅エコポイントが導入されるに至った2010年は、リーマン・ショック後の世界的な不況が続いており、定額給付金、千円高速道路などの景気対策も盛り込まれて、緊急的な経済対策が実施されました。
2011年3月に発生した東北地方太平洋沖地震と福島第一原子力発電所事故により、被害は戦後最悪となる規模に及び、東日本大震災の復興支援などを目的に住宅エコポイントは再開されました。
2014年は消費税が引き上げられ景気の悪化や駆け込み需要の反動に備え、エコポイント制度の改正をし、消費税増税対策として還元を受ける消費者を増やしました。
いずれも政府の経済対策事業の住宅市場の活性化対策として期間限定で実施されてきました。
これまでの住宅エコポイントに当てられた累計予算は、4,793億円となっています。
さらに、2019年の次世代住宅ポイント制度には約1,300億円の予算があげられています。
これまでの波及効果としては、新築住宅市場やリフォーム市場の活気づけや住宅の省エネ化普及などの効果があらわれました。
また、大手住宅企業のみならず、地域の中小企業や個人事業者など様々な分野で制度の活用がみられ、満足のいく結果となりました。
今後の消費者意識としては、建物の地震対策への関心は高く、耐震住宅という視点は必然となります。
また、障害者や高齢者等が物理的障害・精神的障壁を感じない日常生活を送れるバリアフリーの住まいは、小さな子どもにとっても安心安全な住みよい家となり、長く居住することができる造りとして普及してきています。
近年の生命を脅かすほどの異常気象は大きな話題となっていますが、家庭での電力消費量も多くなりがちなため、エネルギー消費を抑える設備の導入も推奨されています。
地球温暖化対策として、住宅には環境負荷の少ない省エネルギー基準が設けられており、快適で経済的に暮らせる住まいであることは重要なポイントです。
今後、住宅の省エネ基準の義務化もささやかれている中、家の資産価値を保つためにも、居住者の理解や配慮とともに、断熱化などの熱性能基準や一次エネルギー消費量基準の省エネルギー性能が住宅に求められています。
国は、より多くの人がライフスタイルに合った便利で快適な生活を営めるように、補助金を受けられるエコポイント制度を導入しました。
住宅エコポイント制度は、再開される度に対象となる枠を広げるなど制度の改正をし、お得にマイホームの購入や小規模なリフォームができるよう促進してきました。
2019年、消費税率の引き上げにより私達消費者の購買欲は減少するかもしれませんが、限られた家計の予算内で、少子高齢化の進むこれからを住みやすく、安心安全に過ごせるマイホームへの投資を検討するよいきっかけになるのではないでしょうか。