日本の住宅事情

日本の住宅事情

日本は国土の約70%が山岳地帯のため、住宅は住環境に向く約30%の地域に密集しています。
その上、都心部の人気が高く、地方との不動産事情には大きく違いが表れています。
2017年の総務省統計局の調べでは、日本の人口は125,583,658人、世帯数は56,221,568世帯と発表されました。
年々高齢者は増加傾向にありますが出生率は低下しており、人口の減少が懸念されています。
しかし、世帯数は増加傾向にあることから、単身世帯や核家族が増加していると考えられます。
夢のマイホームと謳われるほど、幸せの象徴のような家への憧れの高い私達ですが、住宅の資産価値といった視点では、本当の家の価値を理解しているでしょうか。
日本の土地事情から、日本の家屋は海外の人に「うさぎ小屋」と表現され、狭く小さいといった印象を持たれているようです。
しかし家のスケールはたいした問題ではなく、地域に適した安心安全なくつろげる空間を人々は求めているのではないでしょうか。
昨今では異常気象に加え、大きな地震災害などを教訓にした家造りへの意識が高まっており、省エネルギー性能や耐震性能等に優れた住宅に注目が集まっています。
現在の家造りは、海外の建築技術や資材を取り入れ、日本の風土に合わせた快適で強度に優れた構造となっています。
さて、あなたが家に求める性能とは何ですか?
自分の城である住まいを日本の住宅事情に照らし合わせ、改めて暮らしの本質とは何かを問いかけてみましょう。

1. 風土に合わせた家造り「日本の技術と海外の技術」

風土に合わせた家造り「日本の技術と海外の技術」

日本の伝統的な家屋は木造の瓦屋根、平屋の土壁、ふすまで間仕切りされた畳の部屋、縁側や土間、といった住宅を想像するのではないでしょうか。
高度成長期を迎える昭和30年代までは、こうした民家が主流となっていました。
第二次世界大戦後、トタンなどの金属の普及やライフスタイルの変化から、居住様式も近代的な造りへと変化しました、
私達の居住空間はどのように変化し、家と共にどう暮らしていくべきなのか、考えてみましょう。

西洋建築の輸入

鎖国が終わり、西洋文化が輸入されるようになると、いっきに洋風化された新しい生活様式が広がり、文明開化が起こります。
日本は西洋の建築に大きな影響をうけ、その建築技術を取り入れながら、日本の暮らしに合った家造りを目指します。
当時建てられたレンガ造や石造の洋館や公共建築物が今も残っているのを見かけます。
現代、木造和室の純日本邸宅は少なくなり、鉄筋コンクリート造りのフローリングといった西洋式のオシャレな家が多くなりました。
また建築資材の発達により、建物の構造や設計が変わり、強度がありながらもシンプルで快適な空間造りが可能となりました。

海外の技術を取り入れた家造り

日本にある洋風住宅で最も古い建物は、1863年幕末、長崎に来日していたイギリス人の貿易業者トーマス・ブレーク・グラバーによって建てられたグラバー邸です。
日本瓦や竹、土壁など、日本の伝統的な建築技術と、植民地様式(コロニアル様式)が一体となった和洋折衷建築で、その後の住宅建築に大きな影響を与えました。
明治に入ると日本の建築家たちにより、レンガや石造りの西洋建築が手掛けられていきます。
1914年に完成した東京駅は、鉄筋レンガ造りで建築されました。
1916年、長崎の軍艦島に日本で最初となる鉄筋コンクリート造の集合住宅が完成します。
西洋から導入された鉄筋コンクリート構造を導入した、地下1階から地上7階建てとなる大きな集合住宅でした。
昭和に入ると、西洋の真似だけでなく、耐震・耐火性のある日本に適した家造りをするようになります。
関東大震災を経験し、耐震や耐火性能のある鉄筋コンクリート造の建物が増え、1936年には当所レンガ構造予定だった国会議事堂が、鉄骨鉄筋コンクリート構造で完成しました。
第二次世界大戦後は、機能的で合理的なモダニズム建築が好まれ、装飾のない直線的なデザインの建物が増えていきます。
その後、コンクリートや鉄筋の強度が上がり、超高層ビルが立ち並ぶようになりました。

日本の家の構造と特徴

地震大国である日本にとって、「耐震」はひとつの大きなキーワードとなっています。
また、台風や梅雨、夏の暑さや冬の寒さなど、あらゆる気候に順応した造りが求められます。
日本の住宅は、主に木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造(RC)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)の4つの代表的な構造に分かれています。
地震に強い鉄筋コンクリート住宅は、大きく広い空間がとれるというメリットがあり、木造とは違い耐火性、防音性にも優れ、シンプルでモダンなデザインで人気を集めています。
マンションなどの集合住宅では遮音性が重要となりますが、RC造は生活音や外の騒音を気にすることのない快適さが得られます。
その一方、SRC造の利点である気密性の高さは、湿気や熱がこもりやすく、湿度や空調などの管理が必要で、断熱性が低いためエアコン使用頻度が高くなるといったデメリットもあります。
対して木造住宅は、換気性や断熱性に優れ、冬は暖かく夏は涼しいというメリットがあります。
日本は雨が多く湿度の多い気候のため、日本家屋には深い軒や雨戸を設けて、雨が吹き込まないような工夫がされています。
主となる部屋に南向きの窓がくるよう設計され、夏は強い日差しを遮り、冬は部屋の奥まで日の光が入るような造りになっています。
和室の畳には調湿機能があり、ジメジメとした夏や乾燥する冬の室内を自然と快適に保つほか、夏は涼しく冬は暖かく過ごせる働きがあります。
こうした日本の気候に合わせた家造りは、省エネの観点から、見直されてきています。
また家の構造とは別に、日本ならではの特徴として、美しい四季を感じられる家というコンセプトでの造りは、人気が絶えません。
暮らしの中に一年の移ろいを楽しむゆとりを取り入れるのが、日本の家の特徴と言えるでしょう。

2. 家の寿命はどのくらい?

家の寿命はどのくらい?

あなたは、マイホームにどのくらいの資産価値を見込んでいますか?
一生に一度の大きな買い物である住宅の不動産価値は、資産となるのか負債となるのか気になるところです。
快適な暮らしを送りながら、価値をなるべく長く保ち、将来的に売却もできる住宅であると理想的ですね。
しかし現在日本の木材住宅の多くは平均耐用年数が約30年と言われ、土地を残し建物部分の価値を無くしてしまっています。
住宅の資産価値を維持するためにできること、その重要性について考えてみましょう。

経過年数と耐用年数で決まる住宅の価値

「衣食住」は人間の生活の基礎となる着ること、食べること、住むことを表しています。
この中で衣服や食物は消耗品ですが、住居はどうでしょうか?
建築後、年数が経てば当然建物は古くなるので、その価値は次第に下がっていきます。
国税庁は建物の種類によって耐用年数の値を定めており、その建物評価は固定資産税の徴収のために対象住宅の課税価値を決めています。
国税庁が定めた耐用年数を住宅用の建物に絞って見てみると、木造・合成樹脂造は22年、木骨モルタル造は20年、鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造は47年、レンガ造・石造・ブロック造は38年、金属造は19~34年としており、減価償却されています。
では、いずれ建物の価値は、ゼロになってしまうのでしょうか?
残念ながら売却の際の査定では、年数が経過する毎に建物評価は下がり、不動産は土地の値段のみとなってしまう例が多いようです。
そのため、立地条件は資産価値にとても重要なポイントとなります。
住宅の寿命は短く、資産と言うより消耗品という立場が現状のようです。

評価される家の構造と安心R住宅

もちろん耐用年数はひとつの目安で、問題なく居住できる住宅はたくさんあります。
暮らしやすさや快適さが感じられる安心住宅は、評価され資産となる可能性があります。
これから家を新築する人は、資産価値を出来るだけ長く、高く維持できるような造りを考えるとよいでしょう。
また、今ある住宅に価値をつけ、スムーズな住み替えや売却をするためにリフォーム工事を行う人も増えてきました。
政府は、地震大国であり日本の高温多湿の風土に合った造りで便利な生活空間のある一定の性能を有する快適な住宅の普及を促しています。
例えば、断熱等性能等級4または一次エネルギー消費量等級4以上の性能を満たす「エコ住宅」は自然エネルギーの活用や環境に負担をかけない建築法等で評価されます。
耐震等級2以上の性能を満たす住宅または免震建築物である「耐震住宅」は震度6強~7程度の地震でも倒壊せず、安定した構造が評価されます。
高齢者等配慮対策等級3以上の性能を満たす住宅である「バリアフリー住宅」は高齢者等が基本的な生活行為を容易に行える日常生活空間等を評価されます。
生活スタイルに合わせ、長く暮らしていける住まいに投資していくことが、これからの住宅に求められています。
既存住宅の購入は、消費者から見て品質や性能がわかりにくいため、購入後のトラブルを懸念し、購入を嫌がる人もいます。
そんな不安を払拭するため、「安心R住宅」という商標の付いた既存住宅の推奨が進められています。
「安心R住宅」とは、昨今重要視されている耐震性等の品質を備え、構造上の不具合や雨漏り等の状況調査が行われており、消費者のニーズにそったリフォームの実施等について適切な情報提供がわかりやすく行われる既存住宅に対し、国の関与のもと商標を付けるようにしている住宅です。
築年数の長い住宅であっても、メンテナンスやリフォームが施されていれば、家の寿命は長くなります。

既存住宅に対する国の取り組み

住み替えにより家を売却したい場合、どのくらいの価値で売れるのか気になるところです。
国土交通省では、「中古住宅の流通促進・活用に関する研究所」を設け、中古住宅の適切な評価の普及にむけた方策などの検討を行っています。
英米にくらべ、日本では建物と土地が別個に評価され、建物は一律に経年原価させる形で原価法により評価されていることが課題となっています。
中古住宅評価の適正化、中古住宅の質に対する不安の解消、中古住宅流通上の障害除去、住宅ストックの活用面での課題を検討し、原価法を抜本的に改善し建物評価の適正化を図ることを目指しています。

3. 住宅に求められる性能

住宅に求められる性能

小さな島国日本の中の、わずか30%の地域に密集している私達の住宅。
限られた土地にいかにストレスフリーの住まいを持つかは、大きな課題であります。
木造土壁といった日本の民家は、日米和親条約締結の鎖国解禁後、西洋建築の輸入によりより丈夫で大きな住宅へと進化していきました。
強い地震や大規模な災害に耐えられるような鉄筋コンクリート造が増え、建築様式の変化から様々なデザインの住宅が見られるようになりました。
耐火性、防音性にすぐれた丈夫な鉄筋コンクリート住宅は、これまでなかった大きな集合住宅を完成させ、日本の住宅の在り方に大きな影響を与えました。
長崎軍艦島に建つ日本初の鉄筋コンクリート住宅は産業革命遺産になっています。
また、鉄筋コンクリート造りとは対象的な、木造建築の技術も飛躍的な進歩をし、日本の高温多湿の気候に合う天然素材は吸湿性や断熱性に優れ、その性能が見直されてきました。
日本で欠かすことの出来ない住宅の耐震性は、建築基準法において何度も改正され向上してきています。
住宅を資産として見た場合、将来的な資産価値は建物の評価により左右されることがわかりました。
高額である住居が単なる消耗品となってしまわないように、家を建てたり購入する場合は、経過年数による建物評価に負けない性能を備えることが薦められます。
資産価値に大きな変化のない利便性のよい土地選びは、立地条件として大切なポイントとなります。
日本の風土に合った通気性や防湿性があり、断熱性能のよい省エネでストレスを感じにくいバリアフリーの生活空間を確保できる安心安全な住宅は、長く住むことができるうえ、売却の際も需要があるでしょう。
これから住宅を取得する人も売却する人も、売買後のトラブルがないよう住宅事情をよく知り、住みやすい家、住みやすい環境とは何か考えることが大切です。
多様な形が存在する住宅を価値のある資産として次世代に残せるよう、自分に合った暮らしの本質を見つけ心地良い生活に辿り着けると幸いです。